これぞ４番！侍Ｊ筒香２打席連続同点打「大きいのを狙わずに」

ＷＢＣ２次ラウンドＥ組   日本８―５キューバ （ 2017年3月14日    東京ドーム ）

＜日本・キューバ＞５回２死三塁　筒香は中前適時打を放ち雄叫びを上げる
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　侍ジャパンの筒香にとって、チームの勝利こそが至上の喜び。だから、軽打に徹した。一発を捨て、チーム打撃を貫いた。センター、センター、またセンター。１点差に迫った５回２死三塁、３安打目となる同点適時打も中前に運んだ。外角低めの１２９キロスライダーにバットを軽く合わせる。塁上に達すると、一塁手のサーベドラとスペイン語で会話を交わして笑みを見せた。

　「素直に振り抜いた。大きいのを狙わずヒットを打ちにいった。欲を出さないよう、丁寧に丁寧にと思っていた」。初回２死、３回２死三塁からの中前打と合わせて３安打２打点。先発バノスらキューバの投手は手元でボールを微妙に動かす。強引にいけば相手の術中にはまる。試合前ミーティングでは、稲葉打撃コーチから「謙虚にセンター返しでいこう」との指示が飛んだ。我慢と謙虚さを実践し、きっちり勝利に貢献した。

　侍ジャパンの４番。今年から腹の前で一度、竹刀を握るように両手で止めてから構えに入るようにした。その姿は、まさにいにしえの侍だ。２月のキャンプ中から感触は良く、１次ラウンドのキューバ戦でも４打席目までは「侍ルーティン」を継続。しかし、５打席目から変えた。「特に狙いはないし、意識はしていない。自然っス」と言うが、右手でバットを投手方向に立ててから構える昨季の形に戻し、この打席でＷＢＣ初アーチ。１２日のオランダ戦は５打数無安打も「ミスショットはしたけど、感覚はずっと良かった」。試合の中で柔軟に変化し、対応する。２５歳の若さで４番を張る理由がここにある。

　「イスラエルの投手はみんな知らないし一緒のように見える。来た球を打つしかない」。２次ラウンド突破は目前。残り試合、筒香は世界一奪回に向けて打線の中心に座り続ける。　（鈴木　勝巳）