【槇原寛己の視点】球数制限に奪われた菅野の“本来の姿”

[ 2017年3月15日 08:30 ]

WBC2次ラウンドE組   日本8―5キューバ ( 2017年3月14日    東京ドーム )

<日本・キューバ>2回、マウンドで言葉を交わす菅野(右)と小林
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 菅野は球数を意識するあまり「大胆かつ細心」という本来の姿を見失った。いつもはシュート系のワンシームとスライダー、カットボールでベース板を内外に広く使うのが持ち味なのに、内角が使えない。たまに投げてもボールにされると、もう投げない。2次ラウンドになって80球に増えた球数制限。「最低5回、できれば6回」という意識が強すぎたのだ。

 高めに抜ける真っすぐが多い中、内角も使えない。大会前「奥行きを広く」と導入しようとしたチェンジアップを使う余裕もない。踏み込んでくるキューバ打線に対し、外角球が甘く入れば打たれる。4回、1死満塁でデルガドを外角ぎりぎりのスライダーで三振に取りながら、続く9番のメサに初球のカーブが甘く入ったところを左前に運ばれた。ストライクにならなくても内角を見せておけば、違う結果になったかもしれない。

 不本意な投球になったけど、逆転勝ちで米国行きに大きく前進。次は準決勝のマウンドが待っている。今度は球数制限が95球になるが、球数は二の次だ。どこが来ても今まで対戦した以上の強力打線。内角を見せないと抑えられない。リリーフ陣は大舞台を経験して自信を持って投げている。彼らを信じて行けるところまで行く。ドジャースタジアムに行ったら、そんな投球を見せてもらいたい。

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2017年3月15日のニュース