【侍Jライブ解説・牛島和彦氏】<キューバ戦総括>小林は今大会のラッキーボーイ、投手はもっと内角攻めを

[ 2017年3月14日 23:04 ]

<日本・キューバ>キューバに勝利し、小久保監督(右)と握手を交わす山田
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は14日、2次ラウンドに進出している日本代表が1次ラウンド11―6で勝ったキューバ代表と再度対戦。8―5で勝利し無傷の5連勝を飾った。侍ジャパン第5戦をスポニチ評論家の牛島和彦氏がライブ解説しました。

◇試合結果
キ020 201 000|5
侍101 021 03X|8

【総括】<8回に代打・内川が千金勝ち越し犠飛、山田2ランでダメ押し。9回は牧田が3人でピシャリ>

 今日の試合を全体的に振り返ると、苦しい試合だった。6回は振り逃げからチャンスをもらって追いついた。8回も相手のエラーからだった。やっぱり、先に点を取られて、リードを許すと苦しくなる。

 投手陣は強打者に対して、インコースをもっと攻めないと打ち取れないと感じた。調子のいい打者と悪い打者を見極めながら、工夫していく必要がある。

 先発・菅野は多少直球が抜けていたが、そこまで悪くなかった。途中、ワンシームを交えてゴロを打たせたりもしたが、外角一辺倒だったところもあった。いいスライダーを持っているが、外の球を振ってくれなかった。内角を意識させて、外角を振らすのが一番安全。そのあたりをできれば、何の問題もないと思う。

 小林は今大会のラッキーボーイ。本塁打を2発打った山田はここまであまりよくなかったが、今日の試合でつかんだのではないか。筒香も長打だけじゃないところを見せた。打線の中で1、4、5番が打つと強くなる。秋山は6回の四球、8回の左前打といいところでつないだ。今日はこれが効いていた。ここまで来たら、米国の準決勝までなんとしても行ってもらいたいね。

【9回】<抑えの牧田が3人できっちりと抑えゲームセット>

 もう、8回の3点でキューバはがっくりときていた。最後の牧田はスイスイと投げていた。

【8回】<5番手・秋吉が無失点に封じる。打線は松田が相手失策で出塁。秋山の左安打で1死一、三塁に。代打・内川の犠飛で勝ち越し、続く山田のこの日2本目となる2ランで突き放す>

 キューバ打線のリズムは4番以降がよかったが、秋吉が勇気を持ってインコースを攻めてくれた。

 勝ち越しの攻撃は相手のエラーから始まった。内川の犠牲フライはファウルゾーンだった。フェアゾーンだったら仕方ないけれども、投手は点を与えたくないと考えるからがっくりくる。だから、その後の山田のホームランも生まれた。

【7回】<4番手の松井が好投。3者凡退に抑える。筒香が2死から四球で出塁するも、中田は相手好捕で三ゴロに>

 松井裕は少し荒れ球だったけれど、きっちりと抑えてよかった。大事なのは次の回だよね。キューバは4番以降が打っているからね。

【6回】<3番手・増井が登板も2死三塁から勝ち越し点を許す。打線は1死一、二塁から小林の左前打で同点に。好機続くも山田は三振、スタート切っていた二走・秋山もアウト>

 増井の失点はもったいない感じがある。2死三塁から7番・アラルコンにレフト前に運ばれたが、8番のデルガドとの勝負を見てもよかった。この打席の前まで7番は2打数2安打、8番は無安打。内容が対照的だったからね。

 でも、向こうもミスをして同点に追いつけた。投手が踏ん張って、残り3回、先に点を取りたい。

【5回】<菅野から2番手・平野に交代。平野は3者凡退の好救援。打線は1死二、三塁から青木の二ゴロの間に1点返し、筒香の中前適時打で再び同点に追いつく>

 この回からマウンドに上がった2番手・平野がテンポよく3人で打者を斬った。攻撃もここまでラッキーボーイ的な活躍を見せている9番・小林がヒットを打った。

 それにしても同点の中前打を放った筒香は、本当に振り回さず、コンパクトに打っている。相手からのマークが厳しくて長打をなかなか打てないこともあるのかもしれない。そんな中でも2、3打席目は走者を還すことに徹して、コンパクトな打撃に徹していたね。

【4回】<菅野は1死満塁で三振を奪い2死にするも、9番メサに初球を打たれ2失点。打線はバノスを打ち崩せず3者凡退>

 菅野は球数のこともあって、併殺をとろうとしすぎていたように感じた。もうちょっと、攻めて攻めてかわすとか、かわしてかわして攻めるとかしてほしかった。

 ただ、キューバのリリーフ陣もそこまで強くはない。チャンスはまだまだある。次の1点は先にほしいね。

【3回】<菅野は2回のショック引きずらず3者凡退に抑える。山田が二塁打で出塁、三進後に筒香が同点打>

 菅野は相手打者が打ってきそうなときにワンシームで打ち取れると楽になる。

 筒香のタイムリーは大きかったね。1死三塁から点が入らないと嫌な流れになる。日本は後攻だから早めに追いついてあげると、どっしりとして投手も落ち着く。

【2回】<菅野が2ランを浴び逆転される。打線はゴロアウトで3者凡退>

 この回を見ていると、日本のバッテリーはちょっと外に寄りすぎているかな。インコースにいってないから、キューバの各打者に踏み込まれている。

 キューバの投手は逆転してもらって、少し気分がよくなったかな。

【初回】<菅野は落ち着いた投球で3者凡退に抑える。裏の攻撃で山田が先頭打者ホームラン>

 菅野は順調ないい立ち上がり。ボールにも力があった。まだ、3人しか見ていないので分からないが、前回対戦でキューバ打線は、日本バッテリーにカーブで攻められていたから、狙い球にまだ迷いがあるのかな。

 山田の本塁打で1点を取れたのはよかった。相手投手はカーブをメインに投げてくる。それをどの打者も見逃せている。カーブで打ちとられると、向こうのペースになるからね。

【日本代表スタメン】投手 菅野

1番(DH)山田、2番(二)菊池、3番(右)青木、4番(左)筒香、5番(一)中田、6番(遊)坂本、7番(三)松田、8番(中)秋山、9番(捕)小林

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