侍Ｊ小林　執念のリード＆適時打「食らいついた」

[ 2017年3月13日 05:30 ]

ＷＢＣ２次ラウンドＥ組日本８―６オランダ（ 2017年3月12日東京ドーム）

　最後のアウトは侍ジャパン・小林のミットに収まった。ファウルグラウンドで飛球を捕ると、右手で大きくガッツポーズした。「その瞬間に勝ちが決まったので、凄くうれしかった。勝てて良かった」。打って、守っての奮闘で日本の勝利をつかみ取った。

　５―５の５回２死三塁。外角低めのスライダーに腕を伸ばした。中前への一時勝ち越しとなる適時打。最後は左手一本で「とにかく食らいついた」と無我夢中だった。

　２月１日、巨人の宮崎キャンプ初日の朝。青島神社に参拝すると、絵馬に「日本一」とだけ書いた。同じ侍ジャパンの坂本勇は「世界一、日本一」。菅野は世界一の意味も込めて「頂」と書いた。小林はこの時点で「試合に出ることがあったら、凄く緊張すると思う」と話し、自身が正捕手になるとは考えもしなかった。昨季の打率は・２０４だが、１次ラウンドは６打数３安打１本塁打のラッキーボーイ。４試合連続で先発マスクを任され、信頼を勝ち得た。

　昨年１１月の強化試合では千賀のフォークを捕球できず、３暴投の苦い経験をした。ＷＢＣに向けてミットの親指部分を厚さ３２ミリから４０ミリに改良したことでキャッチングは安定。ブルペンでは全投手の特徴をメモして頭に叩き込み「任されている以上はしっかりやりたい」。この日は千賀のワンバウンドした６球すべてを体とミットで止めた。

　強力オランダ打線を相手に９投手をリード。全１９６球、魂を込めて受け止め、タイブレークでも無失点に封じた。「打つ方はたまたまなので」と笑った後、「失点は防げたところもあるので、反省したい」。今の小林には正捕手の自覚と風格も出てきた。　（神田　佑）

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