菅野これが侍エース まさかの先制被弾も動じず!逆転呼ぶ粘投

[ 2017年3月9日 05:30 ]

WBC1次ラウンドB組   日本4―1オーストラリア ( 2017年3月8日    東京D )

<オーストラリア・日本>先発し、好投を見せる菅野
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 侍ジャパンのエースの役目を果たした。勝利の瞬間を見届け、菅野は両手を叩いた。

 「独特の雰囲気の中で投げられて、野球人生にとって忘れられない一日になった。最低限の働きはできたと思います」

 2回2死からデサンミゲルに浮いたスライダーをこすられ、右翼席最前列に運ばれた。「予想外だった」と一瞬ぼうぜんとしたが、すぐに切り替えた。4回1/3を1失点。同点の5回1死一、二塁で球数制限の65球を超えて降板し、岡田が1死満塁のピンチを併殺でしのぐと両拳を握って喜んだ。

 球数に上限がある中、初回から4回まで1イニングの球数を全て目標としていた15球以内に抑えた。全66球のうち、直球はわずか27%の18球。ワンシームで芯を外し、意図的にワンバウンドさせるスライダーで三振を奪った。合宿から言っていた「長い回を投げたい」という目標へ、3回はわずか8球で3者凡退。抜群の制球力で3ボールは一度もなく、3球以内で取ったアウトが6つを数えた。

 準備に準備を重ねた。オフに握ったのはWBC球だけ。1月、自主トレ先のハワイでは「さまざまな状況を想定」と汗で湿らせ、土も付けた。移動の車でも持ち、手に慣らし続けた。ブルペンで何度も新球に変え、触っただけで「この球だとこの変化球」と分かるようにまでなった。

 当初「大谷―開幕戦。2戦目―菅野」と小久保監督は構想を描いた。大谷が右足首痛で不参加となったが、菅野を開幕戦に回さず、あえてそのまま2戦目に起用。初戦でキューバに敗れていれば、最大の重圧がかかる一戦だった。

 敵軍のジョン・ディーブル監督は、レッドソックスの環太平洋地区担当スカウトも務め、東海大時代には勧誘に乗り出そうとしたこともある。菅野との対戦を楽しみにしていた敵将は、その成長ぶりに「メジャークラス」と驚きを隠せなかった。

 「これからのキャリアでもプラスになると実感した」。次は14日の2次ラウンド第2戦が有力だ。「(制限が)80球なので6回は投げたい。強い打者に、自分のやってきたことを信じていきたい」。今季のテーマ「頂」を目指すだけだ。(神田 佑)

 ▼小林(菅野を好リード)いい投球をしたら勝てると思っていた。凄い気持ちも入っていたし良い球もきていた。

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