侍4番・筒香2戦連発!中田V弾の「流れに乗って」8回2ラン

[ 2017年3月9日 05:30 ]

WBC1次ラウンドB組   日本4―1オーストラリア ( 2017年3月8日    東京D )

<オーストラリア・日本>8回2死一塁、右越え2ランを放った筒香が青木(左)に迎えられる
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 侍ジャパンの4番・筒香は確信していた。打球は切れずにフェアゾーンに舞い降りた。2試合連発の2ラン。1点リードの8回2死一塁だ。左腕ケネディの膝元への128キロチェンジアップ。右膝で壁をつくり、スイングと同時に軸を素早く回転させる。右翼ポール際への一撃に「いったかな〜、って感じです」。お立ち台では、のんびりした口調で客席の笑いを誘った。それでも「切れるという感覚は僕にはない」。昨季リーグ2冠王の打球には、王者だけが持つ輝きがあった。

 「中田さんが一発を打って、重い空気が一気に変わった。その流れに乗って打てた」。WBCでの2試合連発は06年多村、09年村田に次いで3人目。この日の試合前には取材に訪れた多村と対面。かつて日の丸を背負った偉大な先輩に並んだ。

 そう、ついにここまでやってきた。13年3月8日。4年前の光景は脳裏に刻まれている。WBC2次ラウンドの台湾戦(東京ドーム)。オープン戦で広島に滞在していた筒香は、飲食店で他の一般客と大型テレビで試合を観戦。9回2死からの同点劇に店内が沸き返ったが、筒香だけは違った。言葉を発さず鋭い眼光でテレビを見つめたまま、拳を強く握りしめた。

 国際舞台で輝きを放つ同じ野球人への羨望(せんぼう)、自身への焦り。13年は23試合で打率・216、1本塁打に終わり、筒香は決意した。「グラウンドで高いパフォーマンスを発揮するためには、野球に取り組む姿勢から変えなければ」――。酒の量を減らし、連戦が続くと疲労を考慮してホテルのルームサービスを利用。会食の席を断り「付き合いが悪い」と言われてもぶれなかった。栄養学も勉強。昨夏からは胃に掛かる負担を考え、和食を食べる機会が増えた。全ては野球のため。高いプロ意識こそが、日本の4番の支えとなっている。

 それでも初回1死二、三塁で空振り三振に倒れたことを反省した主砲は「いい準備をするだけ。(目標は)世界一しかない」と誓った。そのバットこそが、ファンに大きな夢を運んでくる。(鈴木 勝巳)

 ▼稲葉打撃コーチ(右翼ポール際へ2ランの筒香に)(変化球に)反応して、切れずに打てるのは素晴らしい技術。

 ≪日本選手の2戦連発はDeNA勢だけ≫筒香がキューバ戦に続き2試合連続本塁打。日本打者の2試合連発は06年1次ラウンド中国、台湾戦で多村、09年1次ラウンド中国、韓国戦で村田が打ったのに次ぎ3人目。3人とも開幕戦からの連発で、横浜・DeNAの打者。

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