侍J4番・筒香 先制打&感触「あまり良くなかった」ダメ押し2ラン

[ 2017年3月8日 05:30 ]

WBC1次ラウンドB組   日本11―6キューバ ( 2017年3月7日    東京ドーム )

<日本・キューバ>7回2死一塁、筒香は右越え2ランを放つ
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は7日、1次ラウンドB組が開幕し、侍ジャパンはキューバを11―6で下し、白星発進した。4番・筒香嘉智外野手(25=DeNA)が初回に右前先制打を放つと、7回には右中間席にダメ押しの1号2ラン。14安打11得点の打線爆発をけん引した。2大会ぶりの世界一奪回へ、日本が誇る長距離砲が最高の形でスタートを切った。8日はオーストラリアと対戦する。

 東京ドームのファンが一斉に立ち上がった。7―4の7回2死一塁。筒香が5番手のJ・マルティネスが投じた高めのボール気味の136キロ直球を強振した。打球は右中間席に突き刺さる2ラン。WBC初出場の4番のアーチに耳をつんざくような大歓声が響いた。

 試合後、感触を問われた筒香は「あまり良くなかった」と照れ笑いを浮かべたが、打った瞬間それと分かる特大弾だ。3ボール1ストライクからフルスイング。無理に打ちにいく必要はなかったが、無意識の体の反応だけでボールを捉えた。

 「つなぐというより、“いける”と思った球は強く振っていく。打席の中では変につなぐ(意識)というより、常に強い打球を狙っている」

 初回2死二塁では内角スライダーに詰まりながらも右前に力で運ぶ先制打も放った。そして、7回に3点差に迫られ、嫌な雰囲気が漂う中での一発。今大会、全試合で4番起用を明言している小久保監督も「初回の先制タイムリーはチームを落ち着かせてくれたし、“ここで一発打ってほしい”というところで打ってくれた」と称賛した。

 不動の4番の野球に対するストイックな姿勢は、ユニホームを脱いだあとも変わらない。昨季のある日。自身のプレーに納得がいかず、ストレスがたまるたびに自宅で素振りを行った。「部屋を真っ暗にして、バットをひたすら振った」。その姿はまさに「侍」そのもの。真っ暗闇の静寂の空間で、自身のスイング音に耳を傾け続けた。

 宮崎の強化合宿からの実戦全5試合では15打数3安打(打率・200)で、期待された本塁打はなかった。目に見えない重圧を背負いながら4番に座り続けるためには、メンタル面での切り替えは重要となる。それが筒香にとって素振りだった。「一昨年くらいまではストレスたまったときに誰かのせいと思ったりすることがあった」と振り返る。だが、今は違う。「外に出たい気持ちもあるが、素振りすることで解決される」。ここまで歩んできた野球人生の中で、筒香が導き出した答えだ。

 2安打3打点の活躍で、1次ラウンド最大のライバルといわれたキューバを撃破。何よりも大事な初戦を白星で飾ったが、8日のオーストラリアも、04年アテネ五輪準決勝で日本が敗れた難敵となる。「今日は終わったので明日(8日)に向かって良い準備をしたい」。喜んだのも一瞬だけ。日の丸を背負う4番に油断はない。 (柳原 直之)

 ≪11得点はプロ参加以降最多≫日本がキューバとの初戦に11―6で勝利。これでWBC初戦は06年から4大会連続で勝利となった。WBCで日本の2桁得点は、13年2次ラウンド順位決定戦のオランダ戦以来7度目。またプロが参加した(混成含む)99年以降のキューバ戦で11得点は、06年WBC決勝の10―6を上回り最多。

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