田淵幸一氏が侍Jキューバ戦ライブ解説「打つべき人が打ってくれた」

[ 2017年3月7日 23:28 ]

<日本・キューバ>5回1死一、二塁、松田は左越え3ランを放つ
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は7日、東京ドームで第1次ラウンドB組が始まり、日本代表はキューバと対戦し、11―6で勝利を収めた。松田、筒香の本塁打など14安打で白星スタートした侍ジャパンの初戦をスポニチ評論家の田淵幸一氏がライブ解説で分析した。

 【9回(総括)】打線は水ものとは言うけど、打つべき人が打ってくれた。14安打で11得点。つながりもいいし、ホームランも2本、いや、観客が捕ってしまって二塁打になった山田も含めれば、3本だろう。打線にメドは立ったね。先制打に1発も放った4番の筒香の成長ぶりには、目を見張るものがある。何でもかんでも振りにいかず、「ここに来たら打つ」。7回の2ランも3ボール1ストライクからストレートに狙いを絞っていた。だから、内角高めのボール球でも完璧に捉えた。カウント別で相手投手の配球を絞っているのだろう。あとは、5番の中田待ちだね。ヒットは出なかったが、2つの四球を選んだようにボールを見極めているし、状態は悪くない。

 一方で、投手力には不安が残った。救援陣が追い上げられたことで、あれだけ打線が点を取ってくれたのに、ダメージを与えることはできなかった。次戦で戦うオーストラリアはバッティングがいいし、その相手に「日本の投手は手強い」という印象を与えることが必要でもあった。抑えで起用すると言っていた秋吉を、8回のピンチで使ったのも疑問が残る。

 キューバは打線はそこそこだが、投手は技巧派ばかりで、だいぶレベルが落ちている。球威はない上に、コントロールも悪い。投手は球が速いイメージがあったけど、変わってしまったね。しかも、あれだけ変化球中心の投球なら、日本のバッターなら狙い球を絞って打てる。だからこそ、完膚なきまでダメージを与えて勝ってほしかった。

 【8回】キューバのバッターはそこそこ打つとは思っていたけど、日本の救援陣はちょっと心配になってきた。平野から秋吉の継投もうまくいかなかったしね。あれだけバッターが点を取ってくれているのに、追い上げられてしまっては…。その裏にまた打線が点を取ってくれたからいいものの、これでは相手にダメージを与えられない。もうちょっと頑張ってほしいね。

 【7回】則本は3イニング目で疲れが出てしまったね。花粉症による体調不良でちょっと休んだのが響いたのかな。流れが変わりそうな中で、4番の筒香が打つべくして打ってくれたね。一番の成長は何でもかんでも振りにいかなくなった。狙い球を絞ってね。この1発もストレートに絞っていたから、ボール球でも完璧に打った。それにしても、キューバの投手は技巧派ばかり。キューバの投手は球が速いピッチャーが多いというイメージがあったけど、だいぶ変わってしまったな。

 【6回】 則本は本来の姿だったね。150キロを超える直球を低めに集めて、スライダーの切れもいい。大会前は打たれたり、登板を回避したこともあったけど、この時期は花粉症が出るんだ。今日は則本らしさが出たね。

 先発の石川は1点は取られたけど、先発の役割をきっちり果たしたね。持ち前のコントロールの良さ。初戦の大役を任され、重圧もあっただろうが、それでも投げ急ぎは全くなく、落ち着いていた。1次ラウンドは65球の球数制限がある中で、58球で4回を投げ切ったのだから十分だろう。

 【5回】坂本のタイムリーで追加点が取れたけど、中田の二塁への盗塁が大きかったね。昨季は2盗塁で、プロ通算9年間でわずか13盗塁の中田が走るんだからよっぽどのこと。キューバの投手に何か癖が出ている、変化球を投げるときのね。スコアラーがデータを集めたり、キューバの投手を分析した成果だろう。対照的に左腕のイエラはけん制をしなかった。キューバサイドに「中田だから走ってこない」という隙があったね。まだまだ点を取ると思っていたら、松田の3ランが出たね。

 【4回】これはダメだよ。レフトスタンドのお客さん、インフィールドなのに、山田の打球を捕ったらダメだって。二塁打で1点じゃないか。捕らなければ、ホームランになっていたかもしれないし、そうなれば2点勝ち越したのに。あー、もったいない。ファインプレーが多く出て引き締まったゲームに水を差さないでね。

 【3回】9番のセスペデスは上手く石川のカーブを呼び込んで打ったね。1番のサントスのセーフティーバントが効いたな。これが今のキューバの持ち味。足を絡めた攻撃がキューバの現在の野球だよ。1点を取りに行くノウハウをよく知っている。

 【2回】予想通りだね。キューバはもう先発を代えてきた。日本の打者の相手ではない。キューバはこの試合負けてもいいと思っているんじゃないか。エースのブランコは10日の第3戦・オーストラリア戦に投げると聞く。2次ラウンドには2チームが進出できるんだから、強い日本を相手にエースを使うよりも、2位突破も考えているね。

 【1回】石川はさすが、パ・リーグの最優秀防御率投手だね。ピンチを背負ってもポーカーフェイスでゲッツーとって。武器であるシンカーもいいね。菊池もさすが。日本のスモールベースボールは機動力だけじゃない。守りだよ、守り。キューバの先発エンテンザは球威はないし、変化球を多く投げてくる。先制タイムリーを放った筒香はそれを狙ったね。変化球が80パーセントから90パーセント。キューバは早めの継投に出るだろう。

 【試合前】いよいよ始まるね。初戦の相手は強豪のキューバ。打者はフルスイングしてくるイメージがあるかもしれないけど、野球は変わってきているよ。日本のようにスモールベースボールで逆方向に打ってくるから、そのへんは気をつけないと。右バッターも多いしね。だから、日本の投手陣は外角だけではなく、いかに内角に投げられるかがポイントだな。先発の石川にそれができるか。シンカーが武器の投手だし、縦の変化も効果があると思う。頑張ってほしい。

 打線は、これがベストオーダーとは言えないな。小久保監督は、調子のいい選手を使ってきた印象があるね。バッターのキーマンはなんだかんだ言っても中田だよ。スランプが長い選手だから心配だけど、中田が打てば日本は勢いづく。

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