一丸侍J!白星締め 代打・秋山9回V打 小久保監督「仕上がった」

[ 2017年3月6日 05:37 ]

侍ジャパン強化試合   日本5―3オリックス ( 2017年3月5日    京セラドーム )

<オリックス・日本>9回2死一、二塁、勝ち越しの2点三塁打を放ち、雄叫びを上げる秋山
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンは5日、オリックスと強化試合を行い、5―3で大会前最後の実戦を白星で飾った。3―3で迎えた9回に代打・秋山翔吾外野手(28=西武)が右翼線に決勝の2点三塁打。劇的な一打で、世界一奪還を目指すチームに勢いを与えた。WBCは、6日に韓国ソウルで1次ラウンドA組の韓国―イスラエルが行われて開幕。同ラウンドB組の侍ジャパンは、東京ドームで7日にキューバとの初戦に臨む。

 侍のしぶとさ、執念。秋山の覚悟が、バットに乗り移った。3―3の9回2死一、二塁。延長には入らないため凡退すれば勝利がなくなる場面で、代打を告げられた。

 「1本打てるように気合を入れた。何とか食らいついていこうと思った」。マウンドにはオリックスの新外国人ウエスト。2球で追い込まれたが、3球目の直球をファウルし、4球目の内角低めのカーブをすくい上げた。右翼線の最深部で弾む勝ち越しの2点三塁打。対戦経験のない投手との対戦は本番でも想定される。その中で変化球を捉える対応力を発揮した。そして、大会前の最後の実戦で劇的勝利を呼び込み「どういうガッツポーズをしたのかも覚えていない」と振り返った。

 2点を先制された直後の2回の攻撃前だった。チーム最年長の35歳・青木がベンチで選手を集めた。「こういう苦しい試合は何試合もあるから、ここから気持ちを切り替え、気持ちを一つにしてやっていこう」。尊敬する青木の言葉を、秋山は胸に刻んだ。2回に鈴木の3ランで一時逆転したが、3回から8回まで1安打と1点が重たい試合だった。7回2死一、二塁では内川が代打で出たが、ベンチで体を動かし、集中力を研ぎ澄ませた。

 本番でも左の代打や終盤の守備固めに回ることが予想される。不慣れな起用法にも「これだけのメンバーだし、自分が控えというのは想定内。どんな役割でも与えられた仕事を全力でやって、チームが勝つために貢献したい」と迷いはない。

 希望者のみの練習となった前日、当初は参加者の中に名を連ねていたが休養に充てた。「休むときはしっかり休む」。216安打を放ってシーズン最多安打の日本記録を樹立した15年に始めたことだ。「やれることは全部やった」。自分の信念を貫き、心も体も戦う態勢は整った。「まだ、モヤモヤしている選手がいると思う。でも、勝てばみんなが救われる」。勝利の瞬間には、青木、鈴木とともに中堅付近で片膝をつき、刀を抜く「勝利の儀式」も行った。

 最後の実戦を白星で締めた小久保監督は「何とか本戦に向けて仕上がったと思う」と一息ついた。世界一奪還に向け、7日にキューバとの初戦を迎える。「そうそう点は取れないので、相手よりも1点でも多くという戦いをしたい。チーム一丸となって、7日を迎えたい」。表情を引き締め、力強く言った。 (倉橋 憲史)

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