侍・中田 待望1発出たけど「ダメ」危機感あらわ

[ 2017年3月4日 05:30 ]

WBC強化試合   日本2―4阪神 ( 2017年3月3日    京セラD )

<阪神・日本>7回表2死、中田は左越えソロホームランを放つ
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンは3日、京セラドーム大阪で行われた阪神との強化試合で2―4で敗れた。大会前の実戦はこれで1勝3敗。1試合を残し、過去にはなかった負け越しが決まった。中田翔内野手(27)は7回、日本ハムキャンプから通じて今春初となる本塁打。復調気配の大砲が、チームへの危機感をあらわにした。

 笑顔などなかった。待望の一発は出たが、悔しさが中田の心の内を占めていた。試合後の記者会見で、口をついて出た危機感。裏を返せば本気モードの闘争心にスイッチが入った証でもあった。

 「本戦に入ってこういう試合をやっていたらダメ。勝ちにこだわってやっていかないと」

 侍のユニホームに袖を通して4試合目。ようやく中田らしい打球が飛び出したのは、7回2死の3打席目だ。メンデスの131キロスライダーに崩れそうな体勢を我慢し、鮮やかに振り切った左翼席へのソロ。今春実戦9試合、28打席目での初アーチに「しっかりと待てて、しっかりと自分のスイングができた。トータルで自分のスイングができてきた」と語った。

 過去3試合は10打数1安打で、この日も2打席目までは三飛、遊直。2打席目を終わって稲葉打撃コーチから声を掛けられた。「フィールドの中に打ちにいかなくていい。ファウルでいい。余裕を持っていきなさい」。日の丸を背負う責任から無意識に小さくなっていた気持ちが吹っ切れた。「いいアドバイスをもらいました」と感謝した。

 4番・筒香の後ろに控える、侍打線の鍵となる不動の5番。打線の軸を任される男として、チームの現状への危機感は強い。5試合組まれている調整試合は1試合を残し1勝3敗。WBC前に3敗するのも、負け越すのも侍ジャパンとしては史上初だ。「ピッチャーを楽に投げさせてあげることができていないのが、野手陣の実情。もっと野手陣が調子を上げて、もっともっと楽にしてあげないと」。もちろん、自戒を込めた言葉だ。

 前進あるのみと思う出来事もあった。福岡からの移動日だった前日2日。移動の新幹線の中に携帯電話を忘れ、意気消沈した。それでもスタッフの協力もあり、この日までに手元に戻った。必死にもがいて捜し続ける大切さ。見失いかけていた自身の打撃も、ようやく見つかった。

 「やるしかないですから。変に考えすぎず攻めて攻めていかないと。自分の持ち味であるフルスイングをどんどんやっていかないと」

 世界一奪還。侍ジャパンが求めるゴールを見つけるため、中田が力強く誓った。 (春川 英樹)

 【侍打者の不振脱出】

 ☆06年福留 2次ラウンドまで全6試合でスタメンも、19打数2安打と不振。ベンチスタートとなった準決勝韓国戦で7回に代打で出場し、右翼席へ値千金の先制2ラン。一挙5点を奪う猛攻につなげた。

 ☆09年イチロー 全試合で1番を務めたが、準決勝までの8試合は38打数8安打、打率・211と不振。それでも韓国との決勝では自身初の4安打を放ち、延長10回2死からは決勝の2点適時打。「苦しいところから始まって…。神が降りてきた」と興奮。

 ☆13年阿部 開幕直前に右膝を痛めた影響で1次ラウンドは8打数0安打。それでも2次ラウンドは台湾戦で大会13打席目に初安打を放ち、オランダ戦は3安打。再びオランダとの順位決定戦では2回に1イニング2本塁打を放ち1位突破に貢献。

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2017年3月4日のニュース