侍ジャパンを国民のヒーローに “代表ブランド”の価値を高める「憧れ」

[ 2017年2月23日 10:30 ]

スタッフも戦う!もう一人の侍=NPBエンタープライズ今村司社長

NPBエンタープライズの職員。一番左が今村社長
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 侍ジャパンが世界一奪回を目指す上で、欠かせないのがチームスタッフだ。世界一を願い、選手を全力でサポートする「もう一人の侍」へ思いを聞く。第1回は侍ジャパン事業を手掛けるNPBエンタープライズの今村司社長(56)。

 今村社長は1枚の写真を手に取った。「選手のスーツポスターのように、みんなで写真を撮ったんだよ」。選手の撮影後に、同社の社員が真顔でポーズを決めて撮影、合成した写真だ。遊び心もありながら、社員の表情は真剣そのものだ。

 13年。侍ジャパンの常設化とともに立ち上がった会社で、今村社長は柔軟な発想で攻めの事業展開を行ってきた。「社員には必ず何かを発想してやってくださいと言い続けてきた。言い方は乱暴ですが“仕事は責任ある私物化だから”と話してきた」。今回も2月28日、3月1日の台湾プロ選抜戦(ヤフオクドーム)で人気漫画「キン肉マン」をはじめ、さまざまなコラボ策を打ち出し、応援団の常設化や、各球団から選抜した「チア日本代表」も結成した。

 「代表」の重みを考えれば、バランス重視で“守り”に入ってもおかしくはない。だが、世界にも例を見ない代表の常設化だ。自発的に発信しなければ何も生まれない。3年半で数億円の収益を得た。今後はその用途も大事だが、今村社長はさらに侍クオリティー構築へ先を見据える。

 「人が動くモチベーションで一番大きいのは、憧れ。“世界”が子供たちの憧れのキーワードだと思う。羽生結弦さん、松山英樹さん、錦織圭さん、ヒーローは世界で戦っている」。侍ジャパン、そして代表戦士を世界基準にする。その契機となる最大の大会がWBCだという。

 「例えば、DeNAの筒香が世界の筒香になる。日本国民が憧れる象徴が野球界にあるようになってくれれば」

 侍ジャパンは常設から定着へと歩みを進める。11月には日本、韓国、台湾との対抗戦があり、20年には東京五輪が控える。今村社長は侍ジャパンの無限の可能性を信じ、侍戦士に夢を託す。(倉橋 憲史)

 ≪元日本テレビ局員 「DASH村」企≫今村社長は東大卒で、85年に日本テレビに入社。スポーツ局でプロ野球や箱根駅伝、世界陸上、五輪などスポーツ中継に携わり、90年2月には「マイク・タイソン世界戦」を担当した。また「ザ!鉄腕!DASH!!」のプロデューサーとしてDASH村を企画。制作局ドラマセンター長時代には「家政婦のミタ」を制作し、最高視聴率40%のヒット作を生み出した。

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2017年2月23日のニュース