松井裕 侍守護神「勝ち取れれば」強化合宿直前で完璧投球

[ 2017年2月22日 05:30 ]

練習試合   楽天8―11日本ハム ( 2017年2月21日    名護 )

<日・楽>7回無死、打球を追いかけ、一塁ベースに向かう松井
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 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンのメンバーが、強化合宿が行われる宮崎に22日に集合する。抑え候補の一人に挙がる楽天・松井裕樹投手(21)は21日、日本ハムとの練習試合(名護)に登板し1回をパーフェクト。合流間際の志願登板で直球は今春最速の146キロをマークし、新球のツーシームにも手応えをつかんだ。

 守護神という唯一無二のポスト。その座への意欲を、松井裕はいったんはオブラートに包んだ。「なくはないですけど」。だが、続けざまに出た言葉には力が入った。

 「チームでやっているので、抑える確率が高い人が投げた方がいい。自分もその確率を上げていって、勝ち取れれば」

 侍ジャパンではヤクルト・秋吉、オリックス・平野と並ぶ抑え候補の一人。小久保監督は起用法について「7、8、9回のどこかで投げてもらう」と話している。侍の精鋭が各球団から集う強化合宿。その、まさに直前で、ポストを「勝ち取る」ための準備を終えた。

 登場は7回。初球の直球こそ抜けたが、すぐ修正し、3人を15球で片付けた。最後の打者・太田は142キロの低め直球で空振り三振。「(今キャンプで登板した)4試合の中では一番良かった。ある程度、納得できた」と満足感を口にした。

 当初は18日の韓国・KIA戦(金武)で楽天での調整登板を終える予定だった。「真っすぐに納得がいかなかった」と、20日朝に与田投手コーチに登板を志願。テークバックで左腕が背面に入り過ぎないこと。力んで顔が上を向かないこと。そして、体重移動を意識した。「高さもいいボールが投げられた。マウンドに上がったかいがあった」。15球中、直球が10球を占め、今春最速の146キロを計測。自らに課した追試をクリアした。

 手応えは他にもある。「感覚がつかめてきた」というのは、自主トレをともにしたヤンキース・田中に助言を受けてWBC用に習得したツーシームだ。これまではブルペンでも試合でも制球がつかなかった。この日は杉谷との対戦で1球投じ、ボールにはなったが相手は驚きの表情を見せた。さらに、乱打戦で登板まで時間が空いたことで、日頃は14球としている肩慣らしを24球に増加。「(ブルペンでの)終盤は良くなってきて試合に入れた」と口にした。

 15年のプレミア12では準決勝・韓国戦で、2点リードの9回無死満塁の場面で登板し、押し出し四球。1死も取れずにチームも逆転負けを喫した。侍で受けた屈辱は、侍で晴らすしかない。09年大会の決勝では22歳のダルビッシュ(当時日本ハム)が世界一連覇が決まる最終球を投じた。松井裕は大会中、21歳。歴代最年少胴上げ投手への道を進む。(黒野 有仁)

 ◇過去のWBCの侍守護神(所属は当時)

 ▽06年大会 34歳の大塚晶則(レンジャーズ)が5試合に登板し5回2/3を2安打8三振1失点1セーブ、防御率1.59。キューバとの決勝では8回1死から1回2/3を1失点に抑えた。

 ▽09年大会 当初は藤川(阪神)が務めていたが準決勝・米国戦では先発3本柱の一角・ダルビッシュ(日本ハム)が9回から登板、1回無失点で2三振を奪った。22歳右腕は韓国との決勝でも1点差の9回から登板。2死一、二塁から同点打を浴びたが、イチロー(マリナーズ)の勝ち越し打が出た後の10回は抑え2回5奪三振で胴上げ投手になった。

 ▽13年大会 牧田(西武)が3試合に登板して1勝1セーブ、防御率0.00。1次ラウンド初戦のブラジル戦では、2点差の9回に登板し、無失点でセーブをマークした。

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2017年2月22日のニュース