藤浪 WBC仕様マウンドで5回1安打1失点 阪神園芸に感謝のリハ

[ 2017年2月20日 09:05 ]

練習試合   阪神1―1日本ハム ( 2017年2月19日    宜野座 )

<神・日>WBC仕様のマウンドで躍動する藤浪
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 3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパンに選出されている阪神・藤浪晋太郎投手(22)が19日、練習試合・日本ハム戦(宜野座)に先発し5回1安打1失点7奪三振と好投。球団が本番を想定して用意した硬いWBC仕様のマウンドで万全の仕上がりを披露。世界一を目指す戦いへ、虎の若きエースの準備が整った。

 感謝と決意を白球に込めた。しっかりと脱力し、バランスを保った投球フォームからムチのように右腕がしなる。藤浪が、WBCへ向けて完璧な仕上がりを披露した。

 「ある程度、変化球も試せましたし、まっすぐも良かった。ランナーを置いた場面でクイック(モーション)もできたので良かったかなと」

 立ち上がりから球威、キレともに申し分なかった。初回、1死から杉谷を144キロのフォークで空振り三振に斬るなど10球で3者凡退に仕留めると、3回まで完全投球。33球で打者9人を片付け、球数制限のある本番へ理想的な投球を見せた。

 収穫と課題が出たのは、4回だ。先頭の西川に四球を献上し、1死二塁から横尾に右前適時打を浴びて今春初失点を喫すると、大田、岡には連続死球で満塁。窮地に陥ったが、渡辺をカットボールで見逃し三振、最後は高浜を152キロの直球で遊ゴロに退けた。最速154キロの直球と、さえ渡ったカットボールを駆使しての快投。23日からの宮崎合宿前、最後の実戦を締めくくった。

 “援護射撃”に投球で応えた。グラウンド整備を担当する阪神園芸が、マウンドを粘土質の土を入れて硬くするWBC仕様へと変更。決勝の舞台となる米国を意識して赤土に仕上げてくれた。

 さらに、WBC期間中は中継ぎ起用が濃厚で、思うように投球回数を消化できない。先発としてフル回転するシーズンを見据え、2月中旬では異例の5イニングを任された。

 「(マウンドの変更を)やってもらえるということだったので、やってもらった。(硬さに)違和感はなかった。5イニング行かしてもらって、考慮してもらったので、感謝してやりたい」

 1月中からブルペン入りするなどプロ入り最速の調整を進めて、キャンプ中も3試合に登板し計9回1失点と実戦勘を養った。「侍」として臨戦態勢の整った右腕に金本監督も「ストレートも良かったですし、変化球で三振も取れていたし、特に心配はない。やっぱり活躍してほしい。活躍すれば自信になる。やっぱり良い状態で、お帰りと言いたい」と大舞台へ背中を押した。

 「良い調整で、良いキャンプを過ごせた。体の面で疲れも出てきたので、ケアと治療してコンディションを整えて(宮崎に)入れば大丈夫」

 22日の午前中でチームを離れ、同日、宮崎入りする。沖縄ですべきことは終わった。藤浪がいよいよ、タテジマを脱ぎ、日の丸に袖を通す。 (遠藤 礼)

 ▼阪神・香田投手コーチ (藤浪について)マウンドも替えてもらって、彼は感謝しないといけない。4回の先頭打者への四球は反省しないといけないけど、けん制をして(走者も)スタートを切りづらいようになっている。1度も5回までのイニングを投げないで、開幕を迎えるよりは、5イニング投げておけば、ギリギリに日本に帰ってきてもシーズンに入っていける。

 ▼巨人・森中スコアラー もともと制球力に課題があるけど今日は安定していた。もっているものは素晴らしい。これを年間通してこられると、自分たちにとってはマイナスになる。日本のためにがんばってほしいけど、1チームとしてはね…。

 ▼ヤクルト・衣川スコアラー 3回まではすごかった。もしWBCで、短いイニングであの投球をしたらすごい。チャンスがないと思う。

 ≪大谷らも苦労≫一般的にメジャー球場のマウンドは土が硬いとされる。日本では土が軟らかく簡単に掘れるのに対し、メジャーは粘土質で硬く締まっているため、イニングが進んでも掘れることはない。14年の日米野球では日本の球場をメジャー仕様に。金子(オ)が「硬さが違うので、慣れるまでに時間がかかった」と話せば、大谷(日)も「マウンドは硬かった」と、違いに苦慮していた。

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2017年2月20日のニュース