阪神・西岡 乳がん藤山直美に届け激励4発「今度は俺がパワーをあげる番」

[ 2017年2月19日 05:30 ]

フリー打撃で快音を響かせる西岡
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 おかんへ贈る激励のアーチだ。阪神・西岡剛内野手(32)が安芸キャンプ第4クール3日目の18日、左アキレス腱(けん)断裂以来初となる7カ月ぶりに屋外フリー打撃を実施。両打席合わせて95スイングし、4本の柵越えを披露した。

 母親のように慕う俳優の藤山直美(58)が前日17日に乳がんと診断されたことを公表したばかり。「今度は俺がパワーをあげる番」と西岡流のエールを届けた。

 本来なら本隊不在で静かな球場が一人の男の出現で一変した。西岡がバットを手に、メイン球場へ移動すると、200人ものファンが一斉に動いた。今キャンプ初めてスパイクを履き、「思いっきり振るだけ」をテーマに打撃ケージへ入った。

 左打席の12球目でようやく中前に運んだ。徐々に感触をつかみ、50球で安打性の当たりは19本。左アキレス腱(けん)を断裂して以来、初の屋外フリー打撃で上々の内容と言っていい。でも、これは前座だった。

 待望の“一発”は右打席の19本目。左翼席へ着弾すると、ファンから歓声と拍手がわき起こった。軽く左手を上げ応えるとウエアを脱ぎ、本気モードに突入。さらに2本、左翼席へ放り込んだ。「あーしんどい」。思わず漏らしながらも45本目に4本目の柵越えを披露し、“西岡ショー”を締めた。

 「久々に打ったからわざと力んで打った。左は風があったけれど、右は飛距離も変わってないし順調です」

 体重を8キロも減らし、78キロの体でキャンプイン。「やせたから飛ばないというのはナンセンス。失敗を認めて結果を出した時のスタイルに戻した」と首位打者も獲ったロッテ時代に原点回帰した。「内からヘッドを走らせてバーンと当てる方が飛ぶ。イチローさんを見たらそれが一番」と雌伏の時に描いた理想を少しだけ体現した。

 “おかん”への思いも込めた。ロッテ時代から親交があり、母親のように慕う藤山直美から乳がんと診断されたことを公表前に知らされていた。「もともと(フリー打撃を)やる予定はなかったけれど、頑張れというエールを込めて初めて外で打った」。現役引退をも頭をよぎる大けがをした昨年7月、すぐに電話をくれ「死ぬこと以外はかすり傷や。頑張れとは言わないけれど、やれ」と背中を押された。今キャンプ前も食事をした。「今度は俺がパワーをあげる番」と“息子”なりの恩返しだった。

 復活への道のりはまだ道半ばだ。でも、掛布2軍監督も、大半の選手もいない安芸に集まったファンがいる。そして病と闘うおかんも。だから、西岡も完全復活まで戦い続ける。 (康本 園子)

 ≪西岡ケガからの経過≫

 ★16年7月20日 巨人戦(甲子園)2回の走塁中に左アキレス腱完全断裂の重傷。

 ★同26日 大阪府内の病院で左アキレス腱縫合手術を受ける。

 ★8月5日 鳴尾浜でリハビリ開始。

 ★11月8日 阪神が獲得を目指す糸井に自身の背番号7を譲る意思があることを明かす。糸井には後に電話で譲渡を申し入れる。

 ★12月1日 契約更改。再起を後押ししてくれた球団、ファンに感謝を示す。

 ★17年1月8日 ハワイでの自主トレで再開したダッシュの模様をインスタグラムで公開。

 ★2月1日 2軍の安芸でキャンプイン。別メニューながら、負傷後初めて打撃練習を公開。

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