東尾修氏 WBCでは想定外防ぐ起用法を「どんな起用も選手は理解してくれる」

[ 2017年2月15日 10:00 ]

歴代侍の金言=東尾修氏

13年WBCで山本監督(右)のもと、投手コーチを務めた東尾氏。左は巨人・と阿部
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 前回13年大会で投手総合コーチを務めた東尾修氏(スポニチ本紙評論家)は「想定外のことまで想定して、いくつものパターンを準備しておくことが大事」と話した。エースと見込んだ投手が予想外の不振に陥ったのが前回大会だった。

 2月15日から始まった宮崎での代表合宿。エース格と考えていた前田(現ドジャース)が右肩の不安から調整が遅れた。「山本浩二監督と当時の広島・野村謙二郎監督の信頼関係がなかったら招集できなかった」という状態だった。1次ラウンド初戦のブラジル戦では田中(現ヤンキース)が宝刀スライダーを操れない。2回、わずか23球で降ろした。すぐに中継ぎで試合展開の楽な場面での起用へと転換した。2次ラウンド初戦の台湾戦、代役の能見(阪神)に先発を伝えたのは試合の2日前だった。

 登板日や方針を固め、選手に伝えた方が調整はしやすい。だが、東尾氏は「私の時は捕手出身の梨田野手総合コーチ、与田投手コーチがいた。私は勝つための投手起用に専念できた。どんな起用でも、代表に集まる選手は理解してくれると信じた」と言う。どこまで非情であり、冷静になれるか。「今大会は投手コーチは権藤さんだけ。全員でフォローしないといけない」と指摘した。

 オール国内組の投手編成の中で「点差によって継投を何パターンもつくった」という。大変だったのは準決勝の舞台、サンフランシスコのAT&Tパーク。ブルペンが2つしかなく準備投手の選択肢も限られた。「そんな部分でも影響は出る。スタッフも含めた全員が、あらゆる準備を進めてほしい」と語る。

 「3年かけてつくり上げてきたチーム。誰もが納得できる起用はない。一枚岩となり、世界一を達成してほしい」。使う側、使われる側、双方の覚悟が問われる。(倉橋 憲史)

 ◆13年WBCの侍投手陣 投手は13人が招集され、先発を務めたのは前田、田中、能見、大隣(ソフトバンク)の4人。前田はプエルトリコとの準決勝など3試合に先発し2勝1敗、防御率0・60だった。大隣は2試合に先発。田中はブラジル戦の先発後は中継ぎで3試合のマウンドに上がった。全投手が2試合以上登板し、侍ジャパン全体では7試合61イニングで自責点26、防御率3・84だった。

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2017年2月15日のニュース