長嶋さん 過去最多計8度も「勝つ!」連呼 キャンプ視察で闘魂注入

[ 2017年2月12日 05:37 ]

午前の練習終了後に長嶋終身名誉監督(左端)は(左から)高橋監督、井端コーチ、坂本勇らを前に「勝つ、勝つ、勝つ、勝つ!」と連呼する
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 巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(80)が11日、宮崎キャンプを視察し、投手と野手陣合わせて「勝つ!」を8回連呼するなど、強烈なカツを入れた。

 監督時代の教え子で、今季通算2000安打を目指す阿部慎之助内野手(37)を激励。今季初の実戦となった紅白戦も見届けた。大竹寛投手(33)の投球練習中に打席に入るなど精力的に動き回ったミスターが、3年ぶりのV奪回を目指す高橋巨人に「闘魂」を注入した。

 例年以上に、熱い口ぶりだった。午前中に野手の練習を見守った長嶋終身名誉監督は「打者が打てば投手は余裕を持って投げられる。得点が上がれば、防御率は良くなる」と円陣で激励。そして左手を突き出しながら「勝つ!」と4回連呼。阿部、村田ら野手陣も4度「勝つ!」と叫んだ。

 車で室内練習場に向かうと、今度は投手陣を集めた。そこでも「勝つ!」と4度叫び、菅野、内海らも呼応した。長嶋氏は以前から折を見て「勝つ!勝つ!勝つ!」と3連発で巨人ナインにカツを入れることはあったが、今年は回数が増えた。計8度の闘魂注入には、優勝を誰よりも願う気持ちが込められていた。

 長嶋氏 (報道で)キャンプで元気がないという声が出ていたし、中盤から後半にかけて元気を出そうじゃないかと。監督、コーチ、僕も一緒になって。たまにはああいうのもね。今年は勝たないといけない年。良かったと思いますよ。

 通算2000安打にあと83本に迫る阿部には背中を2度叩いて激励。達成すれば球団の大卒選手では自身が記録して以来だ。阿部にとって入団1年目の指揮官。紅白戦で右前へ今季実戦初安打を放ち、幸先のいいスタートを切った愛弟子は「勝てば喜んでくれる。(長嶋氏には)お肉を食べさせてくださいとお願いしたよ」とおねだりした。

 ブルペンでは捕手の後ろから投手陣の球筋をチェック。大竹寛が投げ始めると、打席に立った。04年3月に脳梗塞を発症して以来、始球式で打席に入ることはあったが、現役投手の生きた球を見るのは初。直球を1球だけ見送って「怖かったねえ」とおどけたが、大竹寛は「光栄でした」と感激の面持ちで話した。

 フリー打撃中、ケージ裏の通称「原タワー」と呼ばれるベンチで長嶋氏と談笑した高橋監督は「改めて特別な存在。選手たちも声を出して、気持ちが強くなると思う」。集まった観客は、同じ宮崎でキャンプを行うソフトバンクを4000人上回る、今キャンプ最多の2万5000人。約5時間の視察を終えた長嶋氏は「昨年より今年の方が投手力、攻撃力がいいような気がします」と満足そうに引き揚げた。 (川島 毅洋)

 ▼巨人・坂本勇(紅白戦で3打数無安打)徐々にタイミングを合わせていけるようにしたい。(長嶋茂雄終身名誉監督にあいさつし)元気、パワーをいただきました。

 ▼巨人・杉内 「良い球を投げていたよ。肩、肘が大丈夫なら問題ない」と言っていただいた。少しでも状態を上げていけたら。

 ▼巨人・内海 「ゆっくり焦らずやれば」と激励の言葉をもらいました。期待に応えられるよう頑張ります。

 ≪ミスターと「勝つ勝つ勝つ」≫

 ★10・8 監督時代の94年10月8日、同率首位で迎えた中日とシーズン最終戦。試合前のミーティングで「俺たちは勝つ!いいか、もう一回言うぞ。俺たちは勝つ!勝つ!」とナインを鼓舞。槙原、斎藤、桑田のリレーで6―3で勝ち、リーグ制覇した。

 ★3連覇 07年2月の宮崎キャンプ、同年3月の激励会でも「勝つ勝つ勝つ」とチームを鼓舞。原監督(当時)が率いる巨人はその年からリーグ3連覇を達成した。

 ★就任 15年11月23日の高橋監督就任セレモニーで「勝つ勝つ勝つ」の直筆メッセージを入れたボールを手渡す。

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