楽天・今江 失策敗戦の十字架背負いながら決勝戦適時打

[ 2017年2月5日 11:40 ]

歴代侍の金言 楽天・今江年晶

06年、WBC決勝のキューバ戦で適時打を放つ今江(AP)
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 日本は06年の第1回WBCで優勝。今江の喜びはひとしおだった。ペトコ・パークで行われたキューバとの決勝戦では初回に中前へ2点適時打を放ち、試合の流れを決めた。大歓声も耳に入らなかったほど、集中していた。当時を振り返る。

 「無我夢中ですよ。失策をして、やらかしているし。とにかく無我夢中だった」

 エンゼルスタジアムで行われた2次リーグ、宿敵・韓国との一戦。途中出場で三塁を守った今江は8回にタッチプレーで痛恨の落球を犯した。その直後に藤川が決勝打を浴び敗れた。日本はあわや2次リーグ敗退という瀬戸際に追い込まれた。11年前のことだが「大きな出来事過ぎて、今でもあまり話したくない」と言う。「大事にいこうとしすぎて、ポロッと。トップレベルの大会で失策する。それで流れが変わって、負けた。(当時は)日本に帰ってこられない、という気持ちになった」。同じような場面があると、今でもフラッシュバックするという。ミスを取り返したい。その強い思いが、世界一に導く一打につながった。

 苦汁と歓喜。両方を味わったからこそ、得たものも大きい。「一球の重さというものを、凄く感じた。運良く決勝ラウンドに行けて、優勝できて、僕のミスをチームメートが救ってくれた。一球の大切さ。チームメートの大切さを感じた」。真摯(しんし)に野球に取り組む姿勢はより一層強くなった。

 3月のWBCでは、もちろん世界一奪還を期待している。「その舞台に立てることは、なかなかない。“選ばれし人たち”。重圧ももちろんあると思うけど、良い意味で楽しんでやってほしい」。自らのミスで重い十字架を背負いながら、それをはねのけた“先輩”の言葉だからこそ深い。 (黒野 有仁)

 ▼奇跡の準決勝進出 今江の落球もあって、2次リーグ1組で韓国に敗れた日本は1勝2敗となった。ところが、同1組の最終戦で優勝候補の米国がメキシコにまさかの敗戦。両国と1勝2敗で並んだ日本は失点率で2位となり、準決勝進出が決まった。準決勝で2戦2敗だった韓国を「三度目の正直」で撃破。決勝でキューバを破り、初代王者となった。

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2017年2月5日のニュース