大谷 WBC打者出場も厳しい…シーズン開幕すら不透明

[ 2017年2月2日 05:30 ]

投手としてのWBC出場断念が発表され、会見中厳しい表情を見せる大谷
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 世界一奪回に暗雲。3月開催の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンのエースとして期待されていた日本ハムの大谷翔平投手(22)は31日(日本時間1日)、右足首痛を理由に、投手としての出場を辞退する考えを明らかにした。昨年痛めた箇所で、回復が思わしくなく、調整が間に合わないことから決断。今後は打者出場の可能性を探るも状況は極めて厳しく、小久保裕紀監督(45)の構想は大幅修正を強いられることになった。

 悔しさは胸の内にしまった。キャンプイン前日。ピオリアの施設で午後6時すぎに会見に応じた大谷は、淡々とした口調で言葉をつなぎ、投手としてのWBC出場断念を自らの口で説明した。

 「状態をギリギリまで上げようと頑張っていたけど、なかなか難しいかなと。(栗山監督と)“今回は投手はやめようか”という話をした。投げたいと思う大会だった。残念な気持ちはある」

 原因は「元々関節が緩い」という右足首の痛みだった。昨年10月の日本シリーズで一塁ベースを駆け抜けた際に痛め、11月の侍ジャパン強化試合で悪化させた。オフに入っても回復せず、12月中に福島芳宏チーフトレーナーに「痛みが抜けない」と報告。病院の診断は「右足首の三角骨による痛み」だった。このオフのブルペンは2回のみで、捕手を立たせての軽めの投球。その後は右足首をかばった影響か、両足の張りも訴えていた。大谷は「底屈(足の底の方に足首を曲げる動き)している時が痛い」と説明。ピオリア入り後は発熱で1日休養するなど、調整不足は明らかだった。

 侍ジャパンのエースとして、3月7日のキューバとの開幕戦(東京ドーム)での先発が内定していたが「3月7日にもっていくのにちょっと時間が足りない。100%の状態でいける自信が正直ない」と打ち明けた。この日、ランニングなどで汗を流した後に栗山監督と話し合い、正式に投手回避を決断した。

 大谷は「今できることは状態を上げることなので、そこ(打者出場)に向かって頑張りたい」といちるの望みに懸けているが、現実的には厳しい。「打撃には支障はない」としたが、全力疾走はできず、実戦復帰の時期は不透明。このまま野手としてメンバーに残った場合、投手は1人少ない12人態勢となる。球数制限があり、プレーオフも導入された今大会を勝ち抜くには、駒不足は明らか。また、投手を新たに補充するなら、既に選ばれている野手を1人外さなければならず、野手の陣容にも影響を及ぼす。

 キャンプ第1クールは別メニュー調整が決定した。福島トレーナーは「(病院から)“痛みがひどいならオペ”とも言われている」と、シーズン後の手術の可能性まで言及するほど、思った以上に深刻だ。回復具合によってはレギュラーシーズンの開幕さえ間に合わない事態も考えられる。

 「100%いける自信がないと(WBCは)行っちゃいけないと思っている。無理なら無理で早い段階で決めないと他(の選手)に迷惑が掛かる」。多くのメジャー関係者が注目していたWBC初舞台。そのマウンドに立つことはかなわなかった。 (柳原 直之)

 ▽足首三角骨 足首にある独立した小骨。小児期に距骨の後方に出現し、本来なら癒合して外側結節となるが、成長過程で骨の結合がうまくいかず、突起して残ってしまった余分な骨(過剰骨)を指す。10人に一人が有すると言われ、足首が強制的に下を向くなど、過度の負荷がかかった場合に痛みが生じる。過去にはサッカーの長友佑都、体操の内村航平らも足首三角骨障害で休養した。

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