【球団トップに聞く】中日・佐々木社長“天才のチーム編成”から“議会制民主主義”へ

[ 2017年1月31日 11:00 ]

球団トップに聞く!中日・佐々木崇夫球団社長(下)

中日の佐々木球団社長
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 佐々木崇夫社長は、森監督の印象をこう語る。「一見、こわもてでリーゼントだし薄い色の眼鏡をかけているし目は鋭いし、服装は派手だし、近寄りがたい…」。これだけで終われば苦笑いするしかないが、「でも実像は逆。父親、おやじさんのような感じですね」と親近感を抱き、求心力に信頼を寄せる。

 「再建、再生。往年の強いドラゴンズの立て直し。目標はリーグ優勝、日本一。まずAクラスとは考えていない」

 4年連続Bクラス、最下位の結果にファンからは厳しい声も届いた。そんな中で昨季途中から監督代行を務め、コーチ、評論家と経験豊富な森監督にチームを託した。昨秋から指揮官がサイン会開催など自ら動く中、親会社の特権を生かした初の試みも実施した。「販売店を通じてのファンサービス。基本方針、抱負を面白く話してくれた」。このオフ、愛知、岐阜、三重の東海3県、約1000店舗の販売店の責任者が集まる5度の販売会議に森監督が出席し“講演”した。東海3県の一部地域は販売店でもチケット販売が可能だ。かつては星野仙一監督(現楽天副会長)が販売店向けに優勝の経緯を明かしたことはあったが、開幕前に行った前例はない。「二つ返事で行ってくれた。ものすごく一体感が出た」と感謝する。

 編成面では落合博満GMが3年の任期を終え、1月末で退団する大きな変化がある。「プロ野球界で活躍した一人の達人、天才のチーム編成から、議会制民主主義になった。トップダウンからボトムアップです」。よりスカウト部と編成部が連携を取る。西山和夫球団代表が意見を吸い上げ統括し、チーム強化に努める方針。球団内でも時代の流れは変わりつつある。

 「まだまだやりたいことはたくさんある。受け継いで中身を濃くして、受け渡していくのが私の使命。時代とのギャップをつくるとまずい。ギャップ即、コストになる。時代に追いつけないようになったら、社長を辞めるときです」

 4月には名古屋市内に屋外型テーマパーク「レゴランド」が日本で初めてオープンする。年間観客数180万人と予想されているだけに「そちらとの競争も始まる」とさらに気を引き締めた。時代の流れに乗りながら、地域と一体になって81年目に新たな歴史をつくり直す。 (細川 真里)

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2017年1月31日のニュース