不来方に吉報来た!選手10人&女子マネ3人 練習参加「力に」

[ 2017年1月28日 05:40 ]

第89回選抜高校野球大会出場校決定

センバツ出場が決まり円陣を組む岩手県立不来方ナイン
Photo By スポニチ

 センバツ高校野球の出場校選考委員会で、戦力以外の要素を加味する21世紀枠は不来方(こずかた=岩手)、多治見(岐阜)、中村(高知)の3校が選出された。昨秋の岩手県大会で準優勝した不来方は、出場校中最少となる10人の選手たちを3人の女子マネジャーが支える。

 春の訪れを予告するかのように少し暖かく、雪ではなく雨が降った。不来方の選手10人、マネジャー3人は落ち着かない様子で校舎前に立っていた。平藤淳校長から出場決定を知らされても、きょとんと顔を見合わせた。小山健人監督を胴上げしてようやく実感が湧くと、主将の小比類巻は「今日一日そわそわした感じだったけど“やったな”と思った。10人でも甲子園に出られるのを伝えたい」と力を込めた。

 マネジャーも胸を躍らせた。川崎日菜さん(1年)は「最初に聞いたときは信じられなかった。びっくり」。越戸あかりさん(1年)は、元高校球児だった兄が行けなかった舞台を思い描き「甲子園は野球人の夢。兄も喜ぶと思う」と話した。

 新たな歴史が始まる大会だ。昨夏に大分の女子マネジャーが甲子園練習を補助し、規定により制止された。不来方の3人もニュースを見て「部員と一緒に過ごしてきたのに、どうして参加できないんだろう」と疑問や悔しさが湧いた。規定が変わり、練習補助が認められるセンバツ。斉藤有香さん(1年)は「(甲子園練習に)入りたい。部員の力になれるのがうれしい」と声を弾ませた。

 昨夏で13人の3年生が抜け、守備時にはベンチに選手が1人しか残らない人数になった。それでも小山監督は「意外と楽しく野球ができる」と前向きだ。ノックでは1球ごとに全員が定位置に戻るのを待つ時間がかかるため、思い切って守備を捨て、打撃練習を重視した。少人数だからこそ数をこなせる。前チームが1回8球だった打撃練習は30球まで増えた。

 その練習を支えたのが3人娘だ。「選手にはなるべく練習をさせたいので、裏方の仕事をしてくれて感謝している」と小山監督。打撃マシンの球入れなどをこなし、練習中の食事のため選手1人1合、計10合のご飯を炊いた。13人一丸となって昨秋岩手県大会で準優勝。指揮官はマネジャーの甲子園練習について「入れてあげたい」と即答した。 (渡辺 剛太)

 ▽甲子園練習の女子マネジャー参加 昨夏の全国選手権大会の甲子園練習で、大分の女子マネジャーがユニホームを着て本塁付近でノックのボール渡しを担当。規定では練習補助員は男子部員に限られ、制止を受けた。この対応への批判もあり、日本高野連は規定変更を協議。今春センバツから参加を条件付きで認めることを決めた。十分に安全対策をし、体操服かジャージーを着てヘルメット着用。活動範囲は外野ノック時のボール渡しやベンチ前での補助など人工芝部分に限られる。

続きを表示

この記事のフォト

2017年1月28日のニュース