分岐点となる「高卒3年目」 西武の命運を握るキーマン高橋光

[ 2017年1月24日 11:00 ]

野球教室でじゃんけんで勝った子供に帽子をかぶらせてあげる高橋光成
Photo By スポニチ

 高卒で球界を代表するエースに成り上がった投手は、プロ3年目のシーズンが分岐点になっている。西武の渡辺久信シニアディレクター(SD)兼編成部長から、こんな話を聞いた。「高卒3年目って大事なんだよ。松坂(ソフトバンク)もそうだし、涌井(ロッテ)だってそう。何かしら形(結果)を残している。ここで出てきて若い時から先発ローテーションの中心になるとチームも長い間戦力を維持できるから大きい」。

 松坂は新人の年から3年連続最多勝と次元が違う活躍ぶりだったが、確かにこの法則は当てはまっている。高卒3年目。涌井は自身初の最多勝を獲得している。レンジャーズ・ダルビッシュも沢村賞に選出された。日本ハム・大谷は最多勝、最優秀防御率、最高勝率と投手部門を総ナメに。ヤンキース・田中も2年目の9勝から3年目は15勝とエースの階段を駆け上がった。

 高卒で入団した投手はプロの打者の選球眼、スイングスピードに圧倒される。類い希な素質を持ちながら心身共に成熟していない1、2年目で思うようにいかず、輝きを失うケースは珍しくない。強い精神力に加え、痛打された苦い経験を糧に修正能力の長けた投手しか生き残れない過酷な世界だ。

 西武の命運を握るキーマンが高卒3年目・高橋光だ。14年ドラフト1位右腕は新人の年にプロ初完封勝利を挙げるなど5勝をマーク。しかし、昨季は4勝11敗と大きく負け越した。年明けのトークショーで見せた丸刈り頭が期する思いを象徴していた。「悔しかった。チームに迷惑をかけた反省と今年にかける意気込みです。今年は絶対に結果を残したい」と宣言。辻監督も「(高橋)光成には当然期待している。やってもらわないとね」と言葉に力を込めた。

 かつて黄金時代を築いた西武は3年連続Bクラスと低迷。投手陣の屋台骨を支えた岸が楽天へFA移籍した。昨季の2桁勝利は12勝を挙げた菊池のみ。先発は菊池と大卒の2年目右腕・多和田しか確定していない。残りの4枠は新外国人を含めた、し烈な競争となる。

 ちなみに、渡辺SDも高卒3年目に16勝で初タイトルの最多勝を獲得している。「オレは体が強かったからどんどん投げられた。光成も課題はまだまだあるけど体は強い。可能性は十分持っている」。まだ19歳。過剰な期待は酷かもしれない。だが、高橋光が大ブレークすればチームも優勝争いに食い込む可能性は十分ある。その右腕に掛かる期待は大きい。(記者コラム・平尾 類)

続きを表示

2017年1月24日のニュース