西武ドラ6田村 小さな頭脳派が選んだ道「もし東大に行けたとしても後悔する」

[ 2017年1月22日 09:00 ]

17年版球界新士録

守備練習で軽快な動きを見せる田村
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 新人合同自主トレの持久走。身長1メートル73と小柄なドラフト6位・田村は常に先頭で他の新人を引っ張っていた。「走ることに自信があるわけではない。今できることをやるだけです」。背筋をピンと伸ばして取材に応じる姿勢が実直な人柄を表していた。

 両親が教諭で文武両道を地でいく。中学では内申点が9科目計45点満点で43点。「日本史、特に明治維新が好き。人物や年号を暗記する感覚でなく、その時代の流れの中で自然に覚えていた」。全国模試では偏差値65以上の好成績で、トップクラスの進学校に進める学力だった。勉学への専念を勧める周囲の声もあったが、「もし頑張って東大に行けたとしても野球を辞めたら後悔する」と報徳学園へ。1年夏に先発、救援とフル回転で甲子園ベスト4進出に貢献し「スーパー1年生」と騒がれた。

 最速150キロの直球を打者の懐へ果敢に投げ込む。昨年11月の明治神宮外苑創建80年記念奉納試合。東京六大学選抜の一員でヤクルト・山田と対戦した。高1時の近畿大会決勝・履正社戦で対戦した際は頭部死球と凡打だったが、6年の月日を経ての再戦は四球。「2年連続トリプルスリーの凄い選手。山田さんはシーズンオフだったけど直球で差し込めた球もあった」と自信を深めた。

 挫折も糧になる。高3夏の最後の試合は右肩痛で登板できず、立大でも3年秋までは腰痛に悩まされて1勝のみ。「うまくいかない経験も多かった。ドラフトで下の順位は次のステージで頑張れということだと思うんです」。春季キャンプはA班(1軍)が内定。小さな体で成り上がる。 (平尾 類)

 ◆田村 伊知郎(たむら・いちろう)1994年(平6)9月19日、兵庫県生まれの22歳。小2から野球を始め、報徳学園で甲子園に2度出場。立大では4年時に東京六大学リーグで春夏計7勝を挙げ、通算8勝10敗、防御率3・19。昨夏の日米大学選手権では抑え役で優勝に貢献した。1メートル73、80キロ。右投げ左打ち。

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2017年1月22日のニュース