当時1歳 阪神・坂本 消防士の父から聞いた阪神・淡路大震災

[ 2017年1月18日 08:30 ]

特別な思いでキャッチボールに励む坂本
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 1995年の阪神・淡路大震災から17日、22年を迎えた。兵庫県養父市出身の阪神・坂本誠志郎捕手(23)は当時1歳。消防士として現場出動した父・龍二さんから被災状況を教えられて育った。

 午前10時の練習開始を控えた鳴尾浜球場。阪神・四藤慶一郎球団社長や高野栄一球団本部長、合同自主トレ中の新人選手を含む約60人が黙とうした。プロ2年目を迎える坂本も列に加わって静かに目を閉じた。

 1993年11月10日生まれ。22年前の1・17は1歳だった。「実家に被害はなかったけど、かなり揺れたと聞いた。まだ小さくて記憶はないけど、父から聞いた話で被害の大きさが分かった」。兵庫県北部に位置する養父市では幸い死者・負傷者は出ず、消防士の父・龍二さんは甚大な被害のあった被災地へ出向いて救助活動などに努めた。

 物心がつくようになってから当時の話を伝えられた。「いままでいろいろな現場に行ってきた父が“この世のものとは思えない。それくらいひどい”と言っていたのが印象的だった」。凄惨(せいさん)な体験をわが子に語って聞かせた親心をしっかりと受け止めた。

 地元で育ち、小、中学校でも学んだ。「大きな被害を受けてから団結するんじゃなく、起きる前から団結して助け合える世の中になっていかないといけない、と先生たちから聞かされた」。履正社の主将として選抜大会へ出場した11年春には直前で東日本大震災が発生。忘れられない、忘れてはいけない春になった。

 「災害は防げないと思う。起きたときの準備や対策をやっておかないといけない。自分たちが聞かされてきた話を次の世代にも伝えていかないといけない。助け合って、亡くなった人たちの分もしっかり生きないといけない」。大切なのは記憶の有無ではない。父や周りの人々から託された思いを胸に決意を新たにした。 (巻木 周平)

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2017年1月18日のニュース