【球団トップに聞く】ソフトB後藤社長 最強チームを支える最強の球場営業集団

[ 2017年1月13日 09:00 ]

球団トップに聞く!ソフトバンク・後藤芳光球団社長(下)

後藤球団社長(左)のどん欲な姿勢が工藤監督(右)率いるチームを支える
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 後藤社長は安田信託銀行(現みずほ信託銀行)出身の銀行マンだった。師弟関係にあった前任の故笠井和彦社長に誘われ、00年にソフトバンクへ。孫正義オーナーが社長を務める親会社の財務部長を務めながら、球団社長を兼任している。「孫の金庫番」と呼ばれるその手腕は、一切の妥協を許さない。

 球団はヤフオクドームの運営も行っており「スタジアムの(年間の)稼働率は93%。(今後期待できる新たな収益は)たかがしれている。より多くのお客さんを拡大するにはどうすべきか。球場イベントでは12球団でトップレベルと思うが安住しないでほしい」という。稼働率は野球以外のエンターテインメントなど全てを含めたもの。93%はかなり高い数字だが、営業への注文は厳しい。後藤社長は解散したSMAPを例に挙げて言った。

 「SMAP(のコンサート)がないから売り上げが落ちるのではなく、それ以上のアイデアを常に用意し、やりたい企画でうずうずしているエネルギーを出してほしい」。社員が競り合って「空席待ち」する営業が、理想の形なのだという。

 その発想はヤフオクドーム単体で商売する枠から飛び出した。「(キャパの大きい)ドームでコンサートをできるアーティストはごくわずか。ただ、福岡でライブイベントをやりたいニーズはたくさんある」と言い、こう投げかけた。「(球場とは)別に5000人や1万人入るハコがあれば?」。新たなイベント施設を造るなど、営業を広げる方法はいくらでもある。常識にとらわれなければ、可能性は無限と考えており「この小宇宙(ヤフオクドーム)をトンカチで広げれば、日本の大企業に成長する可能性も秘めている」と独特の表現で熱く語った。

 日本プロ野球選手会が昨年発表した年俸調査(選手会加入者)で、ソフトバンクは総額41億7577万円(平均6960万円)。4年連続で1位だった巨人を抜き、初めてトップに立った。それも親会社からの支援なしで黒字経営をしている。「最強のチームを支えるには、最強のブランドを持ち続けなければならない」。現状に満足しないトップがいるから営業は強くなり、チームも強くなる。 (福浦 健太郎)

 ◆後藤 芳光(ごとう・よしみつ)1963年(昭38)2月15日、神奈川県生まれの53歳。両親は福岡県生まれ。一橋大卒。87年に安田信託銀行(現みずほ信託銀行)入行。安田信託銀行会長だった故笠井和彦氏(前オーナー代行兼球団社長)に誘われ、00年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)入社。現在は本社常務執行役員財務部長やグループ2社の取締役も務める。13年10月から球団社長兼オーナー代行に就任。

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2017年1月13日のニュース