ラストサプライズ?大谷翔平の4番投手はあるか

[ 2017年1月13日 09:45 ]

日本ハム・大谷の豪快なスイング
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 【宮入徹の記録の風景】どうやら日本での大谷のプレーも今季限りで見納めになりそうだ。これまで、日本ハムの栗山監督は大谷のサプライズ起用でファンを驚かせてきた。ただし、いまだに実現していないのが4番投手での出場。入団以来、大谷が投打で先発出場した、いわゆるリアル二刀流は12試合ある。打順の内訳は5番が最多で5試合。以下、7番4試合、1、6、8番各1試合で4番はない。

 ご存じのように日本ハムには不動の4番、中田がいる。大谷が日本ハム入りした13年以降、昨年まで日本ハムは574試合を消化した。チームの先発4番打者を多い順に出すと(1)中田530(2)アブレイユ36(3)陽岱鋼8。中田1人で9割以上を占めており、今季も4番の座は揺るぎそうにない。それでも昨年の中田は6月に打率・176と不振に見舞われ、同月28、29日の西武戦に欠場。4番を陽岱鋼に譲っている。その陽岱鋼はFAで今季から巨人に移籍。中田になにかしらのアクシデントがあれば、大谷を4番投手で起用しても不思議ではない。

 そこで一足先にプロ野球の4番投手の歴史を調べてみた。第1号は金鯱の古谷倉之助。プロ野球が始まった11年10月4日の阪急戦で初めて記録した。同年古谷は4番投手で先発出場したのが14試合。投げては1勝8敗、防御率3・09と振るわなかったが、打っては打率・277、6打点とまずまずの成績を残した。

 最多出場は野口二郎の通算77試合。投手としては37勝33敗と勝ち越し。打者としては打率・206、27打点となっている。大洋時代の42年5月24日名古屋戦では4番投手として延長28回を投げ抜いた。この試合で打席に12度立ったが12打数でわずか1安打。344球を投げたため打撃にまで力が回らなかったようだ。

 面白いのが青バット、赤バットで一世を風靡(ふうび)した大下弘が2試合、川上哲治が3試合と少ないながら経験者であること。大下はセネタース入団1年目の46年6月2日中部日本戦で最初に記録した。この試合で3回にプロ1号の逆転満塁本塁打をマーク。ところが投手・大下は3回を持たず6失点で降板と大乱調。結局、チームは14│15で敗れ、殊勲アーチは勝利に結びつかなかった。

 ここまでは全て1リーグ時代の話。2リーグ制になった1950年以降では、51年10月7日に阪神の藤村富美男が大洋戦で記録したのが唯一あるだけ。もしも大谷が4番投手で先発出場すれば、実に66年ぶり、パ・リーグの選手としては初めてになる。さすがに大谷自身が「僕を4番投手で使ってください」とはいえないだろう。栗山監督の粋な計らいに期待したい。(専門委員)

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2017年1月13日のニュース