【石井一久氏と師弟対談】楽天・岸 15勝…と言ったのは失敗
今季、西武から楽天にフリーエージェント(FA)移籍した岸孝之投手(32)とドジャース、西武などで活躍した石井一久氏(43=スポニチ本紙評論家)の新春師弟対談が実現した。2人は西武で08年から6年間、チームメートで、岸にとっては野球人生の師匠でもある。エース像、則本昂大投手(26)の存在、投球スタイルなどを語り合うとともに、石井氏に新天地に懸ける思いを打ち明けた。(取材・構成=重光 晋太郎、徳原 麗奈)
石井 新年あけましておめでとう。
岸 おめでとうございます。
石井 初めての移籍だけど、楽天で仲の良い選手はいるの?
岸 連絡を取るのは則本ですね。14年の開幕戦で投げ合って、則本がプロ初完投で僕が負けました。その翌日にあいさつに来てから交流がありますね。
石井 梨田監督は岸と則本2人でWエース構想を描いている。岸から見て則本の凄さは?
岸 やっぱり直球に勢いがあってタフですね。今までワク(涌井=ロッテ)とかもタフだなと思っていたけど、また違って、ずっと力で押していくタイプ。年間通してそれだけ投げて故障もしないし、ゲームもつくる。入団会見でも言いましたけど、僕が成長するために凄く大きな存在ですね。
石井 岸と則本、スタミナがある投手が2人いることでチームが安定した戦いができる。
岸 はい。僕も完投を目指していきたい。ただ、入団会見で15勝すると言ったのは失敗でした…。14勝もしたことないのに(笑い)。
石井 15勝というより、コンスタントに勝つことが大事だね。
岸 そうですね。ケガしないで一年間ちゃんと投げたい。そこに数字が付いてきて「楽天に来てくれて良かった」とファンに思ってもらえる一年にしたいです。カズさんは、移籍することに不安とかありませんでしたか?
石井 僕はヤクルト―ドジャース―メッツ―ヤクルト―西武と渡り歩いて思ったのは、移籍はマイナスじゃなくて、今後の人生を考えるとむしろプラスしかない。マイナスって何かと言えば、生え抜きでなくなることだけだと思う。西武は今年から敵になるけど、嫌な打者はいる?
岸 栗山さんですね。簡単に三振もしないし選球眼もいいし、状況に応じた打撃をする。もちろん、中村さんや浅村も嫌ですけど、ホームラン打たれなきゃいいやと割り切れる。栗山さんだと、余計なことも考えちゃいそうで…。
石井 僕の中で岸は数年前まで「最強の2番手」だったが、ここ最近は1段階レベルが上がって、真のエースになった感じがする。
岸 エースと呼ばれると、プレッシャーとかいろいろあるじゃないですか。「最強の2番手」の方が自分には合っています(笑い)。
石井 岸は元々、140キロ前後で回転数の多い直球を持つ投手だったけど、ここ数年少しずつ球速が上がり、それでいて球質も変わってない。球に関してもレベルが一つ上がっている。
岸 3年ぐらい前からスライダーをカットボール気味にして直球のように意識して投げていたら腕の振りが強くなった。それを投げ始めていたら球速が上がったので、理由はそれしかないかなと。ただ、それに体がついてこられなくてケガしたと思います。
石井 予想以上に速い球とか、うまい体の使い方ができた時、それを体が覚えちゃうとケガすることがある。そのためにもトレーニングが大事になってくる。岸はケガさえしなければ大丈夫。ところで、春先の仙台の寒さ対策は?
岸 春先に仙台で投げたことがないから分からないですけど、寒がりなので対策を練らないといけない。オープン戦が(仙台で)組まれてないので、そこが不安です。
石井 春先は西武プリンスドームも結構寒いでしょ。
岸 カズさんは寒さは関係ないでしょ(笑い)。春先から半袖で…。長袖で投げるのを見たことがないですよ。
石井 とにかく一年間、頑張って。期待しているよ。キャンプも久米島に行くから。
岸 来ないですよね(笑い)。絶対に来てくださいよ!
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