巨人 機能しなかったU25若手野手

[ 2016年12月30日 09:00 ]

秋季キャンプで指導する巨人・高橋監督
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 【宮入徹の記録の風景】高橋由伸新監督の下、2年ぶりの優勝を目指した巨人はリーグ2位でシーズンを終えた。10年連続10度目のクライマックスシリーズ進出は果たしたものの、レギュラーシーズンでは優勝した広島に17・5ゲームの大差。巨人が新人監督で臨んだシーズンに首位と2桁ゲーム差をつけられたのは、50年水原茂監督(17・5ゲーム差)、75年長嶋茂雄監督(27ゲーム差)に次ぎ3人目。高橋新監督にとって苦い船出となった。

 敗因はさまざま挙げられるだろうが、目立ったのが若手野手の元気のなさ。今季チームの最年少本塁打は26歳。大田4本、橋本2本、立岡2本がその内訳で25歳以下の打者は本塁打を記録できなかった。巨人で25歳以下の選手が1本も本塁打を打てなかったのは2リーグに分立した直後の51、52年と2度あるだけ。当時は巨人の第2期黄金時代がスタートした時期に当たる。1番の与那嶺要から千葉茂、青田昇、川上哲治、宇野光雄、南村不可止、平井正明、楠協郎と充実期を迎えた顔ぶれで主力メンバーを形成。若手が割って入る余地がなかったことが一番の要因だ。

 今季12球団の25歳以下の本塁打合計と個人最多は以下の通り。(カッコ内は個人最多)(1)DeNA57(筒香44)(2)ヤクルト54(山田38)(3)阪神38(原口11)(4)日本ハム34(大谷22)(5)広島31(鈴木29)(6)西武26(山川14)(7)楽天16(茂木7)(8)中日13(高橋4)(9)オリックス12(吉田正10)(10)ソフトバンク10(今宮10)(11)ロッテ8(中村6)(12)巨人0(―)。

 最も多いDeNAは25歳の筒香が44本を放ち自身初の本塁打王を獲得。次いで23歳の桑原も11本塁打と気を吐いた。さらに2位ヤクルト、3位阪神とセの球団が1〜3位を独占。巨人若手野手の停滞ぶりが余計に目立つ形になった。

 巨人はファームでも若手野手は伸び悩み気味。今季イースタンで25歳以下の2桁本塁打は岡本の18本のみ。来季の若手野手の底上げも岡本の成長なしには語れない。

 ところが巨人は今オフにFAで日本ハムから陽岱鋼、それに元楽天・マギーと日本で実績のある野手を補強した。勝利と育成を両立させ、バランスよくチームを作り上げていくことができるのか。2年目の高橋監督はジレンマを抱えての采配になりそうだ。(専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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