【キヨシ スタイル!】「野球って面白い」そう思える転換期の一年

[ 2016年12月27日 10:00 ]

 有馬記念も終わって2016年も残りわずか。振り返ると野球界にとっては転換期になる年だったんじゃないかな。

 野球賭博問題、清原和博の覚せい剤取締法違反による逮捕…。暗い話題が続く中、球界全体の空気を変えてくれたのが広島の快進撃だった。なかでも大きかったのが新井貴浩の存在だね。阪神をお払い箱になった男が、最後のチャンスをもらった古巣を引っ張り、故郷に錦を飾った。

 不器用なヤツがこつこつ努力して、みんなから愛される選手に。そして人に幸せを与える。ファンに元気、勇気を与えてこそスーパースター。黒田博樹ともども一年間本当によく頑張った。25年ぶりのリーグ優勝。ご褒美にMVPをもらったけど、私もこの新井さんに今年の球界MVPをあげたいな。

 若手も出てきている。流行語大賞になった「神ってる」の広島・鈴木誠也。本塁打、打点のセ・リーグ2冠に輝いたDeNAの筒香嘉智。それになんと言っても日本ハムの大谷翔平だね。投げて日本球界最速の165キロ。打っては22本塁打。投手と指名打者で史上初の2部門でベストナインを受賞した。世界のトッププレーヤーとして通用するスケール。異次元の領域に達している。

 みんなが頑張って、今年のプロ野球12球団観客動員数は2498万1514人(1試合平均2万9116人)。実数発表されるようになった05年以降、最多の数字だよ。うれしいじゃないの。カープ女子に代表されるように、若い女性ファンが増えてさ。野球離れが心配された若い世代が「野球って面白いね」って思ってくれている。今や野球場は老若男女が集う場所になってるんだよね。

 来年3月にはWBCが控えている。20年東京五輪では野球が復活。ピンチを乗り越えた今年の流れをさらなる発展につなげていくためにも、われわれ野球人は常に責任ある行動を取らなきゃいけないね。ファンから愛され、応援してもらってこそのプロ野球。個々に自覚を持って、マイナス要因はみんなで排除していかないとね。

 清原もこれからの行動で「応援したいな」と思わせてほしい。それが本当の「男気」。野球に対してひたむきで純な清原和博が戻って来てくれたらうれしいな。 (スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2016年12月27日のニュース