来春からTBSアナ 東大・喜入捕手が挑む新たな戦い

[ 2016年12月25日 17:59 ]

女房役として宮台〈左)を支え続た東大・喜入
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 インタビューを書き起こしてみたら、約6500字にも及んだ。12月7日付紙面で掲載した、来春からTBSアナウンサーになる東大・喜入だ。よどみなく、理路整然と意見を述べ、さすが東大生とうならされた。その一方で東大生であるがゆえの苦悩があったことも印象的だった。紙面では内容を厳選せざるを得なかったため、こぼれ話をここで紹介したい。

 福岡の進学校・修猷館出身。さらに東大進学と秀才ぶりがクローズアップされるのは、宿命かもしれない。しかし喜入は言う。

 「そもそも修猷館も東大も、野球がしたいから勉強を頑張った。高校時代は野球していても、僕より頭いい同級生に負けたくないと思って塾に通い始めた。大学選びもそう。それまで小手先だとか世渡り上手とか言われたこともあった。でも東大に合格すれば努力した証になると思った」。すべては野球のため、そして負けず嫌いな性格。それが自らを奮い立たせた。

 文武両道という周囲からの目にも、思うことがある。世間一般から見ればいわゆるエリート人生かもしれないが「勉強して東大に行って安定した企業に入るっていうのは保険をかけているような気がする」。そういう意味で、社会人野球やプロ野球に進んだり、一つのことを追求することがかっこいいと感じるそうだ。「だから文武両道っていうのはあんまりかっこいいものではない気がしている」とも語る。実際にその中で生きてきたからこそ言える言葉。インパクトがあった。

 今でも東大に落ちる夢を見るそうだ。「浪人中ずっとD判定とかで全然ダメで。桑田真澄さんが東大のコーチやると聞いたのが、2次試験まであと1カ月くらい。もう今年東大に入るしかない、とギアが一気に入った。たまたま解きやすい問題が出たりして、運が良かったと思っている。もしその時落ちても、もう一浪してもこの大学に入りたいなと思う4年間だった」と振り返る。

 相当な集中力が必要だったに違いない。「結果がすべて。東大に受からないと意味ない。だらだらしないことを心がけていました。目の前のことに集中して終わらせる。一生懸命やる過程より、積み重なってるかと振り返りながらやっていた」

 来春からは一個人としての勝負が始まる。「喜入っていう人間が評価されるようにしないといけない。視聴者にとっては東大出身がしゃべってるかどうかなんて関係ないじゃないですか。だから人間力やこれまでの人生で勝負しないと」。新たな舞台での活躍を楽しみに待ちたい。(記者コラム・松井 いつき)

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2016年12月25日のニュース