金田 糸井の人的補償でオリ移籍 好機つかみ「火消し役」で活躍を

[ 2016年12月16日 10:00 ]

阪神の金田
Photo By スポニチ

 オリックスが阪神にFA移籍した糸井の人的補償で26歳右腕、金田の獲得を決めた。人的補償が発生したのは、14年にヤクルト・相川を獲得した巨人から奥村が移って以来。阪神が人的補償を求められたのは、07年の広島・新井獲得時の赤松、10年のロッテ・小林宏獲得時の高浜に次ぎ3例目だ。

 14日に編成会議を終えたオリックス・福良監督が「チーム状況を考えると投手。20代。(起用法は)中になる」と話した時点で、個人的に真っ先にイメージできたのが「金田」の名前だった。プロ2年目の14年に1軍デビューし、ほぼ救援で40試合に登板して5勝1敗、防御率3・61。はまった時は直球でどんどん押せる力強さがある。

 ただ、今季は登板6試合どまりで防御率6・00。クローズアップされたのは4月9日の広島戦(甲子園)で、延長10回途中から出てきて押し出しを含む3連続四球で交代すると、金本監督は「淡々と投げて淡々とストライクが入らない。ベンチでも淡々と座っている。伝わってくるものが何もない」と語った。翌10日に2軍落ちし、再昇格は8月末。秋季キャンプでの投球を金本監督は「シーズン最後の方で使いたかったがチャンスがなかった。いいものを持っている」と再評価したが、球団が28人だけのプロテクト名簿に入れることはない…と想像できた。

 新しい角度から見られれば、選手の評価は大きく変わる可能性がある。オリックスに移ることは、金田にとっては好機だろう。出身の大院大の教授で阪神ファンの「虎エコノミスト」として知られる国定浩一さんは金田のプロ入り時に「我が大学のエースが阪神に入り、こんなうれしいことはない」と喜んでいたから、今回の移籍はさぞ残念だろうが…。

 阪神では鹿児島県曽於郡大崎町出身の福留と榎田、鹿屋市出身の大和とともに「大隅半島カルテット」の1人として知られた。金田のルーツを知ろうと、出身地の曽於(そお)市を2年前に本紙記者が訪ねている。実家から徒歩30秒というお好み焼き店「でんえん」は都城商(宮崎)のチームメートと通った思い出の店。お決まりのメニューは豚玉だったという。実家は「金田消防防災株式会社」を営む。オリックスのピンチを救う「火消し役」としてひと旗揚げる姿を見たい。(記者コラム・和田 裕司)

 ◇金田 和之(かねだ・かずゆき)1990年(平2)9月18日生まれ。小3から財部(たからべ)サンデーズで野球を始め、中1から本格的に投手を始める。都城商2年夏に宮崎大会決勝進出の原動力に。大院大では4年春から秋にかけて関西六大学リーグ戦で6試合連続完封を達成した。12年ドラフト5位で阪神入り。通算56試合で7勝1敗、防御率4・27。1メートル84、83キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2016年12月16日のニュース