【石井一久クロスファイア】高額年俸選手に人気「所得税0%」の州

[ 2016年12月14日 08:20 ]

ドジャースのカーショー
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 マリナーズからFAとなった青木が先月30日、アストロズと1年契約に合意した。年俸は550万ドル(約6億3250万円)だが、メジャーでは同じ550万ドルでも契約する球団の場所によって、「手取り」が変わることを皆さん、知ってますか?アストロズの本拠地ヒューストンがあるテキサス州は、所得税0%という恩恵を受けている。税率は各州で異なり、最も高いカリフォルニア州の所得税は13・3%。この「0%」と「13・3%」の違いは大きい。同じ金額でもドジャースやエンゼルスと契約するのでは、実際にもらうお金は億単位で違ってくる。

 所得税0%は全米では7州あり、メジャー球団の本拠地があるのは、テキサス州(アストロズ、レンジャーズ)とフロリダ州(マーリンズ、レイズ)、そして首都ワシントン(ナショナルズ)。ドジャースのエース左腕カーショーは、シーズン中はロサンゼルスだが、オフはテキサス州に住んでいる。14年1月に7年2億1500万ドル(約247億円)で契約を延長したが、テキサスに住むことで7億円ぐらい税金をセーブできるらしい。オフにフロリダに住む選手が多いのも、節税対策が理由の一つだ。

 米国中を転戦するメジャーリーガーの納税システムは実に複雑だ。例えば、ニューヨークで年間8試合戦った場合、8日間分の労働に対する税金をニューヨーク州の税率でニューヨーク州に払わなければならない。「世界一ややこしい」とも言われる、この複雑な計算は、全て税理士がやってくれる。年間スケジュールと照らし合わせながら、州ごとに払う金額を出してくれるので、それをチェックする。たまに「○万円」という安い金額を目にするが、それは3日間しか滞在していない都市だったりする。

 オフのFA移籍を、税金の観点から見るのも面白い。レンジャーズやナショナルズは大物選手の争奪戦に参戦する常連チーム。青木が加入するアストロズは大型補強に成功し今オフの主役となっている。所得税がないことで、高額年俸選手に人気の土地なのだ。(スポニチ本紙評論家)

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2016年12月14日のニュース