盗聴器、乱数表…「70歳の打撃投手」が語ってくれた“昔話”

[ 2016年12月8日 10:40 ]

今季限りで退団したロッテの池田打撃投手
Photo By スポニチ

 ロッテの「70歳の打撃投手」こと池田重喜寮長兼打撃投手が退団した。投手として67年ドラフト4位で大洋に入団。71年にロッテに移籍し77年に引退。トレーニングコーチなどを経て、00年から寮長、12年から打撃投手を務めていた。古希を迎えても元気いっぱい。ロッテ浦和球場でランニングをし、フリー打撃でテンポよく投げているのが日常の光景だった。

 今年からロッテ担当になり、寮長には昔のプロ野球の興味深い話をいろいろ聞かせてもらった。「今は時代が違いすぎて、通訳をつけて話さないといけないよな」と笑っていたのが印象的だ。例えば「今だから言えるけど、試合中にベンチに盗聴器が仕掛けられていたんだよ。盗聴されているのが分かっているから、わざと逆のことを話した。それ(逆のことを言うこと)も相手に分かっているから、どうするかっていうことになるんだけど」。サイン盗みが当たり前の時代。盗聴器まで繰り出して勝ちにこだわっていたという。

 「今の子は乱数表なんて知らないだろう」と寮長。球種が書かれた乱数表をグラブに貼り、捕手が数字のサインを出して球種を伝えたという。そこまでしないと、サインを読み取られてしまう。どんな手を使っても勝たなければいけないのがプロ。ほかにもいろいろなサイン伝達方法を教えてくれた。「負けたときはみんなガクーッてなっとったよ」と振り返る。

 夏場にロッテ浦和球場に行ったときのこと。不振のナバーロの話になった。助っ人は内角攻めを受け続け、完全に腰が引けていた。「ナバーロはなんで逃げちゃうんだろうな。昔は当ててもいいっちゅうくらい胸元にバンバン放ったよ。ベースにかぶさっている打者もいたし、外角に甘く入ったら持っていかれるからね」と言っていた。球団の垣根を越えた合同自主トレが当たり前になった今よりも、敵対心や闘争心がぶつかり合っていたという。ロッテ浦和球場で寮長の話を聞けなくなるのが寂しい。(記者コラム・渡辺 剛太)

続きを表示

2016年12月8日のニュース