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海峡を越える野球愛「伝え手」が書いた日韓野球のつながり

 「野球愛は日韓をつなぐ」
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 【内田雅也の広角追球】自称「韓国プロ野球の伝え手」として活躍するジャーナリスト、室井昌也さん(44)の新刊著書『野球愛は日韓をつなぐ』(論創社)が発売となった。韓国紙・スポーツ朝鮮で2006年3月から今も書き続ける連載約500本から97本を選び、日本語に翻訳し直して1冊にまとめた。

 日本人が韓国語で書く連載は異例で、スポーツ朝鮮から「功労賞」を授与されたそうだ。

 連載タイトルは『室井の近くて遠い韓日野球』。開始当初は日本と韓国野球界の違いを韓国の読者に説明することが主体だった。「だが、連載が進むにつれ、取材現場で見聞きしたことを筆者目線で伝えるように変わっていきました。実際の内容がタイトルと合わなくなったため、インターネット配信では通称の『室井コラム』を使うようになりました」

 題材の変化は、海峡をはさみ「近くて遠い」日韓野球界の距離が縮まったことを示す。軽率な論評は避けるが、人的交流が進み、相互理解が進んでいるのは間違いない。

 韓国プロ野球が創設されたのが1982年。83年には日本球界出身の福士敬章(張明夫=チャン・ミョンブ)氏、84年には新浦寿夫(金日融=キム・イルユン)氏らが韓国に渡り、力を見せつけた。彼ら在日同胞選手を描いた関川夏央氏の『海峡を越えたホームラン』(84年・朝日新聞社)の副題は「祖国という名の異文化」だった。言葉も習慣も食事も異なる祖国・韓国で苦悩し悪戦苦闘する姿があった。

 同書「長いあとがき」で関川氏がインタビューで語っている。「韓国に行くひとは油断していますね。似ている、という点をまず探す。(中略)ところが実体はかなり違うわけです。かなりどころか、ときにはわれわれが比較的親しんでいる白人文化の一部よりももっと遠い」

 室井さんは「日韓に関して“似ているようで違う”という点は今も変わらずあると思います」と前置きしたうえで「しかし、“お互いが顔を合わせればわかりあえる”という相互理解は進んでいると感じます」と話す。

 著書では韓国でコーチを経験して日本に復帰した関川浩一、種田仁両氏が<指導の幅が広がった>とする2011年4月25日付コラムがある。室井さんは<以前は日本の野球人が韓国に渡ると「都落ち」という印象を持たれていたが、今ではそれが薄れている>と、日韓の実力差が狭まってきた側面をみている。

 さらに、根底にあるのが著書のタイトルにある「野球愛」である。「コラムに登場する人々の多くが異国であるということをあまり感じないでいます。好きな野球を接点として他者と関わり、その他者がたまたま韓国人(日本人)だったというケースが多いように思ったので、このようなタイトルになりました」

 『海峡――』では近鉄を退団した捕手・石山一秀(宋一秀=ソン・イルス)氏が三星ライオンズ入りした84年、家族との別れ、届く手紙、福士氏にもらった「サッポロ一番」に涙する。それでも「だけどぼく、野球、好きなんですわ」と韓国で初めて味わった開幕戦出場の感動と興奮を伝えている。

 「野球愛」について室井さんは「私自身の取材姿勢によるところも大きい」と話した。著書の「おわりに」でSKワイバーンズと三星で5年間コーチを務めた芹澤裕二氏(元中日)から「室井さんは人が好きでしょ」と指摘された下りがある。

 室井さんとの出会いはアジアシリーズが始まった2005年、こちらの一方的なアプローチからだった。大会がなくなった今も、交流は続いている。(編集委員)

 ◆内田 雅也(うちた・まさや) 1963年2月、和歌山市生まれ。小学校卒業文集『21世紀のぼくたち』で「野球の記者をしている」と書いた。桐蔭高(旧制和歌山中)時代は怪腕。慶大卒。85年入社以来、野球担当一筋。大阪紙面のコラム『内田雅也の追球』は10年目を終えた。昨年12月、高校野球100年を記念した第1回大会再現で念願の甲子園登板を果たした。

[ 2016年12月3日 10:10 ]

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