栗山監督 譲渡金上限撤廃せよ 大谷のため!ポスティングで持論

[ 2016年11月16日 05:33 ]

日本外国特派員協会で会見する栗山監督(左)

 日本ハムの栗山英樹監督(55)が15日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。海外スポーツメディアも大きな関心を持つ大谷翔平投手(22)についての質問が集中。花巻東時代からメジャー挑戦の夢を持つ大谷が早ければ来年オフにも利用することになるポスティングシステムへの意見も求められ、譲渡金の上限は外すべきとの持論を展開した。

 いつもと違う緊張した面持ちながら、はっきりと答えた。海外メディアからポスティングシステムへの見解を聞かれた栗山監督は「仮に僕が大谷翔平だったら」と前置きした上で、話し始めた。「翔平ってお金に全くこだわりがない選手。もし彼が“ファイターズにお世話になってメジャーの夢が果たせた”と思うのであれば、球団に恩返しがしたいと思うはず。フリーになったほうが、翔平も球団(日本ハム)も喜ぶかなと思う」。

 指揮官の言う「フリー」とは、譲渡金の上限である2000万ドル(約21億6000万円)の撤廃だ。13年12月発効の現制度では、上限額を複数の球団が提示する可能性があり選手にはその中から移籍先を選べる利点がある。だが、大谷の市場価値がその上限を悠々超えることは明白だ。譲渡金に上限のなかった06年オフの松坂は5111万ドル(当時約60億円)、11年オフのダルビッシュは過去最高額の5170万ドル(当時約40億円)で落札された。

 会見を終えた栗山監督は、千葉・鎌ケ谷の球団事務所で2軍コーチの就任会見に出席。持論を続けた。「今の制度だとFAと同じ。“上限は意味があるのか?”と思う。この監督さんのためにとか、違う条件があったら行きたいと思うかもしれない」。撤廃のメリットとして「(大谷が)出ていって何も残らないより、500億円残って球場が建つとかの方がいい」と例を挙げた。

 現時点で制度利用に向けた動きはないが、指揮官は近い将来を見据え、世界が注目する二刀流の未来に一石を投じた。「いつ行くかは知らないが、(大谷を)早く米国で最高の評価を受ける技術のところまで持っていく責任がある。時間をかけてはいけない」。球界の宝を預かる責任感が言葉ににじんだ。(柳原 直之)

 ≪13年からスタート 5月に1年間延長≫ポスティングシステムとは、海外FA権取得前に米球界へ移籍できる制度。日本球団が譲渡金(上限2000万ドル=約21億6000万円)を設定し、その額を支払う意思のある全ての大リーグ球団が選手と交渉できる。13年に発効した現システムは、今年5月に新たに1年間延長された。改正を希望する場合は、契約終了日である10月31日の180日前までに相手側に通知する必要がある。今オフは制度を利用する日本選手が少ないと予想され、大リーグ機構も選手会との労使交渉に時間を割く必要があり、日米双方で改正や終了を申し入れなかった。

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2016年11月16日のニュース