小久保ジャパン 貴重なタイブレーク初体験「ブルドッグシフト」奏功

[ 2016年11月13日 08:05 ]

侍ジャパン強化試合 ( 2016年11月12日    東京D )

<日本・オランダ>延長10回1死満塁 大野のサヨナラ右前適時打に喜ぶ侍ジャパン

 タイブレークに突入した10回無死一、二塁の守備。進塁させないために侍ジャパンの小久保監督は仕掛けた。

 「(シフトの)ブルドッグはタイブレークに入った時点でやろうと思った。ゴロが転がると考えてはサインは出せない」

 打者ヴァンダーミーアは初球、バントの構えを見せてボール。2球目。投球と同時に一塁手と三塁手が猛チャージをかけ、遊撃手は三塁ベース、二塁手は一塁ベースをカバーした。直前練習でも試した「ブルドッグ」と呼ばれるギャンブルシフト。ゴロがフェアゾーンに抜ければ大惨事となる中、ヴァンダーミーアは自分の判断で打って出て中飛。「ブルドッグの圧力」が進塁を防いだ。

 岡田(中日)を起用したのも理由がある。「(三塁へ送球しやすい)左投げもそうですし、フィールディングがいい」と指揮官。その後2死二、三塁では代打スコープへ敬遠策を指示したのも「岡田は四球の心配がない」との判断だった。小久保監督は「1点ビハインドまでなら(勝利の)可能性がある」とし、外野手には「ファウルフライは捕るように」とも伝えていた。

 裏の攻撃では、無死一、二塁から大谷(日本ハム)に打たせた。「大谷の足なら併殺はない。最低でも一、三塁になる」と小久保監督。三塁へゴロを転がした大谷も「ある程度全力で走れば、ゲッツーはないと思った」と話した。攻守ともに、イニング間にベンチと選手の意思統一を図れたことが、松田(ソフトバンク)の敬遠の後、大野(日本ハム)の右前へのサヨナラ打を呼んだ。

 タイブレークは来年3月のWBCでも導入が確実。日本代表のトップチームでは08年北京五輪の予選リーグ最終戦・米国戦以来で、小久保監督以下、全選手が初体験だった。「わずかの時間の中でコーチ陣といろんなことを想定できたことも貴重だった」と指揮官。小久保監督、そして選手が自信を得る意味でも大きな経験となるはずだ。(倉橋 憲史)

 ◆タイブレーク 野球やソフトボールで、早期決着を目指して延長戦で人為的に走者を置く特別ルール。WBCでは09年の第2回大会から導入。延長12回で同点の場合、13回以降の攻撃を無死一、二塁から行った。打順は12回終了時から引き継ぎ、先頭打者の直前2人が走者となる。今回の強化試合では、延長10回以降がタイブレークとなる。国際大会では08年北京五輪、第2、3回のWBC、プレミア12などで採用された。

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2016年11月13日のニュース