大谷、侍1号は140メートル弾!メジャー52勝腕撃ち

[ 2016年11月13日 05:30 ]

侍ジャパン強化試合 ( 2016年11月12日    東京D )

<日本・オランダ>5回無死 大谷は右中間ソロを放つ

 侍ジャパンの大谷翔平投手(22=日本ハム)は12日、強化試合でオランダとの第1戦に「6番・DH」で出場し、1―5の5回に右中間へ140メートルの特大ソロを放った。日本代表初アーチで勢いづけ、この回一挙6点を奪って逆転に成功。二刀流は来年3月に控える第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも打線に欠かせない存在となりそうだ。試合は延長10回、タイブレークで1点を奪い、9―8でサヨナラ勝ちした。

 空気を一変させた、とはこのことを言うのだろう。1―5で迎えた5回、先頭の大谷はフルカウントまで一度もバットを振らなかった。そして6球目の内角低めの137キロの速球を振り抜くと、打球は右中間席の上段まで飛んだ。代表初アーチは特大の140メートル弾だ。刀を振り抜くように、最後は右手一本。劣勢の展開に静まり返った東京ドームを沸かせたのは、やはりこの男だった。

 「打った瞬間(感触は)良かった。フルカウントだったので四球でも良かったのかなと思った。ホームランはたまたま」

 オランダの先発ジャージェンスは09年にブレーブスで14勝を挙げ、11年にはオールスターにも出場したメジャー通算52勝の右腕だ。2回の第1打席では外角に沈む変化球に空振り三振を喫し「やられた投手から打ちたいと思った」という。強烈なファイティングスピリット。この一発で打線が目覚め、打者10人でこの回一挙6点を奪った。タイブレークとなった延長10回無死一、二塁では三ゴロに倒れたが、サヨナラ勝ちに笑顔を見せた。

 外国人投手特有の手元で動くボールに対し、なぜ大谷はすぐ対応できるのか。その理由について「テークバックはそんなに大きく取っていない。“コンパクトに”ではなく、なるべく無駄な動きを省きたい」と明かした。「構え」の時点でバットをシーズン中より顔の近くに置き、右足を踏み出す際にもバットを後ろに大きく引くことはない。「しっかりボールを見て、鋭く振れるようにしている」。できるだけボールまで最短距離でバットを出し、確実に芯で捉えることが狙いだ。大谷は「シーズン中から取り組みたかった」と言うが、優勝争いが白熱したため、試すことはなかった。「この期間(11月)に実戦はなかなかない。思い切って試してもいいんじゃないかと思った」。今回の強化試合は世界を、メジャーを肌で感じる貴重な機会。その高い向上心も世界レベルだ。

 前日も2安打3得点1盗塁で勝利に大きく貢献した。来年3月のWBCでは「投手メイン」で起用される予定が、小久保監督はこの2試合の「打者・大谷」の活躍に「もう(WBCの)日程は出ているので、その中でどういう起用ができるのか考えたい」と方針転換を示唆。本番でも打者でのスタメン機会が増えそうだ。これこそが大谷の底知れぬポテンシャル。衝撃弾で、世界にまたその名をとどろかせた。(柳原 直之)

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2016年11月13日のニュース