西川サヨナラ満弾で王手!92年杉浦以来シリーズ史上2度目快挙

[ 2016年10月28日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2016第5戦  ( 2016年10月27日    札幌D )

<日・広>9回2死満塁、西川がサヨナラ満塁弾を放つ
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 劇的すぎる王手!日本ハムは27日、広島に5―1でサヨナラ勝ちし、2連敗からの3連勝で、10年ぶり3度目の日本一にあと1勝とした。同点の9回2死満塁で、不振だった西川遥輝内野手(24)が右越え本塁打。サヨナラ満塁弾はシリーズ史上2度目の快挙となった。29日の第6戦は再び敵地・広島へ。レギュラーシーズンで最大11・5ゲーム差をひっくり返したパ・リーグ覇者の底力を見せつけ、頂点に立つ。

 右拳を振り上げ、声にならない雄叫びを上げた。1―1の9回2死満塁。1ボールとなり、西川はスライダー待ちだったが「歩かせても(押し出し)四球。真っすぐで勝負してくる」と確信した。狙い通り。中崎の149キロ直球を強振した打球は、弾丸ライナーで右翼席に飛び込んだ。日本シリーズでは92年のヤクルト・杉浦以来、史上2人目のサヨナラ満塁弾だ。

 「“頼むから行ってくれ”と思った。チャンスで打てなくても打席に送り込んでくれた(栗山)監督に感謝したい」

 第1戦で2安打して以降、18打席連続無安打と不振だった。この日も同点とした7回2死二塁の勝ち越し機で、狙い球を絞り切れず空振り三振。「何を打つのか明確にできなかった。集中力を保って、準備だけはしっかりやろうと思った」。この三振で迷いが消えた。

 直前に1番・岡が死球を受け、両軍ベンチがグラウンドへ飛び出す一触即発の異様なムードが流れた。「岡さんがああいう形(死球)になって燃えるものがあった」と言う一方で、「僕が乱闘に入って、(打席に入るのが)立ち遅れても嫌。冷静に打席に向かった」。6年目の成長だった。

 今季はリーグ2位の打率・314をマークするなど大きく飛躍。シーズン中のルーティンだった城石打撃コーチと試合後に行うティー打撃は、敵地・マツダスタジアムでも欠かさなかった。「城石コーチと練習を続けてきた結果。少しでも恩返しできた」と感謝の言葉も口にした。

 西川は端正な顔立ちに、顎ひげを生やしたワイルド風貌で屈指の女性人気を誇る。一見やんちゃな印象だが、気遣いの男。移籍2年目のベテラン矢野には親しみを込めて「ジィジ」と呼び、誕生日には高級スニーカーをプレゼントして祝福した。後輩の近藤が送球難により捕手から外野手に配置転換されても「俺もイップスの気持ちが分かる。(外野でも試合に出場して)“凄いな”としか言わない」。先輩、後輩問わずに慕われるには訳がある。

 栗山監督は涙目で「元々本塁打を打てる打者。今年一年は本塁打を捨てて、よく頑張ってくれて最後に(打って)良かった。野球の神様も見ていてくれていたんだと思う」と称えた。試合後に「代打だと思いました」と指揮官に漏らしたという西川。お立ち台で「本当に興奮しすぎて、喉がかれてしまいそうなくらい」とおどけたが、「4万人のファンのみんな、全員で広島に行くぞー!」と再び絶叫した。4万633人の大歓声が響く。ついに10年ぶりの日本一に王手をかけた。 (柳原 直之)

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