阪神ドラ5糸原 虎のミスターになる!「長嶋ロード」から出世だ

[ 2016年10月27日 06:14 ]

JX-ENEO野球部栄光のトロフィー棚を背に、目標を色紙に書きガッポーズする糸原
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 虎のミスターになる! 阪神からドラフト5位指名を受けたJX―ENEOSの糸原健斗内野手(23)が26日、神奈川県川崎市にある同チームのクラブハウス内で、佐野仙好統括スカウトらから指名あいさつを受けた。多摩川グラウンドでのランニングコースは、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(80)も若手時代に使用していたことが判明。自らのセールスポイントを「勝負強さ」と言う新人は、無類の勝負強さを誇った大スターにあやかる決意だ。【阪神関係記事5、6面】

 「ミスター」と同じ道を歩んできた。いや、走ってきた。糸原が在籍するJX―ENEOSは、ランニングメニューの一環として、同グラウンドの隣を流れる多摩川の河川敷を走り込むことがある。全長約12キロの過酷なメニュー。糸原がプロへの礎を築いた鍛錬の場を、プロ野球界のミスターこと長嶋氏も走っていたことが判明した。

 「めちゃめちゃ走っています。今年は(都市対抗の)本戦を逃しましたから。6時開始です。朝起きて、着替えて、スタートという感じです。1時間以内に帰ってきて、7時から朝食。そのあとまた練習。とにかく、必死でした」

 今夏は都市対抗予選で敗れたため、体力強化を目的に早朝6時から走り込んだ。グラウンド前からスタートして北進し、二子橋を渡って折り返す。そこから南下すると、今度は丸子橋を渡ってまた折り返し、スタート地点に戻ってくるというコースだ。

 その多摩川の対岸には、1950年代~80年代中盤まで、巨人2軍の本拠地球場であった「巨人軍多摩川グラウンド」の跡地がある。今から50年以上も前には、当時、若手だった長嶋氏も同所を走り、大粒の汗を流していたという。まさに「ミスターロード」。新たな世界でのサクセスストーリーを描く糸原にとって、これ以上ない験担ぎの場と言える。

 この日、指名あいさつを受けた糸原は勝負強さと、ここぞの場面での集中力をセールスポイントに掲げた。

 「社会人野球を2年間経験して、一発勝負のなかで勝負強さを培ってきた。そこが持ち味だと思うので、発揮していきたいと思います」

 普段の打撃練習から、場面やカウントなど、自ら想定。ゲームさながらの雰囲気を作りだし、常に、1球で仕留める力を磨いてきた。

 思えばその長所もまた、ミスターに通ずるものがある。長嶋氏の名場面として思い出されるのは、1959年6月25日、昭和天皇が観戦された天覧試合だ。球史に残る歴史的一戦で同氏はサヨナラ本塁打を放った。勝負強さの「極み」とも言える出来事だった。

 29日から開幕する社会人野球日本選手権が終了後には、広島市内のトレーニングジム「アスリート」で自主トレを行う予定。「虎のミスター」として名を馳せるべく、地道な鍛錬に明け暮れる。(巻木 周平)

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