【東尾修大分析 中田編】レアード決勝弾呼び込んだ8回2ストライクからの四球

[ 2016年10月27日 08:55 ]

SMBC日本シリーズ2016第4戦 ( 札幌D )

<日・広>6回裏無死、中田(奥)に同点ソロ本塁打を浴びた岡田
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 日本ハムは、主砲・中田翔内野手(27)が完全に目覚めた。スポニチ本紙評論家の東尾修氏(66)は、6回の同点ソロ以上に2ストライクと追い込まれながら四球を選んだ8回に中田が本来の姿を取り戻したと指摘。第3戦まで阻止できなかった広島の機動力を封じたことも勝因とした。運命の第5戦。広島は先発ジョンソンで必勝を期すが、日本ハムが王手をかければ第6戦以降の二刀流・大谷の起用法にも柔軟性が生まれる。

 「よくがっつかなかったな」という思いで中田の四球を見ていた。8回1死無走者での打席。ジャクソンのスライダー2球に完全にタイミングがずれての空振りをして2ストライク。しかし、そこから違った。外角低めの見極めをキッチリつけて四球を選んだことで、レアードの決勝弾を呼び込んだ。

 前の打席。6回の左越え同点ソロも甘く入った初球のスライダーを強く叩けた。第3戦の同点打は体が少しだけ早く開いてバットの先っぽに当たったが、この日はしっかりとタメもつくれていた。本来の爆発的な力を生む中田のスイングだった。裏を返せば、この本塁打があったからこそ、広島バッテリーは「甘いコースは厳禁」と感じたことだろう。8回の四球は球威十分のジャクソンでさえ、速球を投げ込めなかった。広島バッテリーが警戒レベルを上げたことは一目瞭然だ。

 最大7戦ある日本シリーズのうち4戦目は考え方が難しい。先発投手の質はどうしても落ちる中で第3戦まで好調な選手とどう対するか。勝負を避けるのか、封じ込める糸口を改めて探るのか――。その意味で、前日にサヨナラ打を含む3安打の大谷に対して広島バッテリーはうまく攻めていた。内の強い球に、外に沈む球で空振り三振に斬った5回は第5戦以降に打ち取る材料として収穫は大きかった。

 だが、第5戦からは違う。この試合の中田、レアードの一発は、大胆にいった中での失投とあって尾を引くものではないが、もう「失投だから…」と言い訳もできない状況になる。勝負するのか、避けるのか。両軍ともにベンチの指示を明確にしなければ、取り返しがつかないことになる。

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2016年10月27日のニュース