広島 重盗&2発で大谷粉砕!誠也“神ってる”日本S47年ぶり本盗

[ 2016年10月23日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2016第1戦 ( 2016年10月22日    マツダ )

<広・日>2回1死一、三塁、重盗で生還する三塁走者・鈴木。捕手・大野
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 カープ野球が「無敵」を撃破した。SMBC日本シリーズ2016が22日に開幕。25年ぶりに出場した広島が5―1で日本ハムに先勝した。2回1死一、三塁で重盗を仕掛け、鈴木誠也外野手(22)がシリーズ史上47年ぶりの本盗に成功して先制。4回には2本塁打で加点し、今季ここまで「リアル二刀流」で8勝1セーブの負けなしだった日本ハム・大谷翔平投手(22)を攻略した。84年以来32年ぶりの日本一へ、最高の発進だ。

 誠也の勝ち、だった。躊躇(ちゅうちょ)はしない。2回1死一、三塁。日本ハムの捕手・大野の二塁への送球が、マウンドでしゃがみ込んだ大谷の頭上を通過する。遊撃手の中島が横っ跳びで捕球した瞬間、三塁走者の鈴木は猛然とスタートを切った。「捕手の投げ方が緩くて、遊撃手の体勢を見て行った」。中島が立ち上がって投げた返球よりわずかに早く、左手でホームに触れた。先制点。もぎ取った。難攻不落の相手エースを足で崩した。緒方監督の勝負度胸あふれるタクトに、選手が全力で応えた。

 「判断は難しかったと思う。鈴木がよくスタートを切ってセーフになってくれた」。短期決戦。先に仕掛けたのは緒方監督だった。この場面、石原に2度、セーフティースクイズのサインを出した。いずれもファウルに終わると、5球目にさらに動く。一塁走者の安部がスタート。石原は空振り三振に倒れるも、鈴木が本塁を突いた。日本シリーズでの本盗は、69年の巨人―阪急の第4戦(後楽園)で巨人・土井正三が決めて以来だ。

 「失敗しようが成功しようが“仕掛ける”というメッセージを送った」と緒方監督。公式戦と変わらない「カープの野球」だった。シーズン118盗塁はリーグ1位。鈴木はチーム3位の16盗塁を記録した。大谷とは同じ高卒4年目の22歳。しかし今季になって一気にブレークした「神ってる」男にとって、相手は雲の上の存在だ。初めて会ったのは二松学舎大付1年の秋。岩手・花巻東へ練習試合に赴いた。対戦機会はなかったが、母校の市原勝人監督から「いいか、おまえにとって一生のライバルは彼だ」と言われた。待望の初対決。2打席目以降は連続三振に倒れたが、打つだけではない己のポテンシャルを存分に見せつけた。

 試合直前、その鈴木ら選手はロッカールームで「モチベーションビデオ」を観賞した。今季の勝ち試合などを編集した映像。黒田がメジャー時代の経験から提案し、CSファイナルSでも導入した。今回はDeNAを撃破したCSの試合や、黒田の引退会見の模様も追加。最後は選手会長・小窪の「さあ、行くぞ!」との号令に全員が「おうっ!」と叫んだ。

 「大事な初戦。いいスタートが切れた」。スタンドを埋めた真っ赤な波に囲まれて、緒方監督はインタビューを受けた。チームの伝統にしてお家芸の足攻。指揮官自身こそが、95年から3年連続盗塁王に輝くカープ野球の申し子だ。大谷を攻略しての白星。これは、ただの1勝ではない。

 ≪先勝V率64%≫広島が第1戦に勝利。緒方監督はシリーズ初采配だが、過去の広島監督のシリーズ初試合は75年古葉監督△、86年阿南監督△、91年山本監督●。白星発進は緒方監督が初めてだ。また、広島のシリーズ初戦勝利は84年阪急戦以来32年ぶり2度目。前回は4勝3敗でシリーズを制しており、今回も続くか。なお、過去のシリーズで先勝したチームは66度のうち42度が優勝。V確率は64%になる。

 ≪巨人・土井以来の47年ぶり本盗≫広島は2回に三塁走者・鈴木が一塁走者・安部との重盗で本盗を決めた。日本シリーズでの本盗は69年第4戦で巨人・土井が阪急相手の4回に一塁走者・王との重盗で決めて以来47年ぶり5度目で、全て一、三塁からの重盗。同点から決めたのは62年の東映・吉田勝に次ぎ2度目で、決勝点になったのは今回が史上初めて。

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