桜美林大・佐々木千 最強外れ1位!史上最多5球団競合でロッテへ

[ 2016年10月21日 05:30 ]

ロッテから1位指名を受けチアガールの部員から祝福を受ける桜美林・佐々木
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 最強の外れ1位だ!「プロ野球ドラフト会議 Supported by リポビタンD」が20日、都内のホテルで行われ、桜美林大・佐々木千隼投手(22)に外れ1位で史上最多となる5球団が競合した。抽選の結果、交渉権を獲得したのはロッテ。支配下指名としては同大史上初、都立高野球部出身としても初めてのドラフト1位選手となった。大学で急成長した「大谷世代」の153キロ右腕が、初物尽くしのドラフト指名でプロの世界に飛び込む。

 運命のドラフト会議。佐々木千の表情はこわばっていた。「最初に呼ばれなくて不安になった。このままどこからも指名されなかったらどうしよう…」。手の汗を拭いたり、腰を浮かしたり、落ち着かない。直前の予想では創価大・田中と並ぶ人気で、競合は必至と思われた。ところが、12球団の1位指名で最後まで名前を呼ばれなかった。

 キリスト教系の大学であることから、会見場はチャペルが用意された。桜美林大初のドラフト1位指名の瞬間に立ち会おうと、学生ら200人以上が集まったが、予想外の展開に静まり返った。明大・柳、田中の抽選が終了し、外れ1位へ。すると、ロッテから名前を呼ばれた。会場は拍手と歓声が湧き起こり、さらにDeNA、巨人、日本ハム、広島と続く。1位で抽選に外れた全5球団が佐々木千を指名。今度はどよめきに変わった。

 特設ビジョンで抽選を見守った佐々木千は、ロッテ・山室晋也球団社長が当たりクジを引き当てても、まだ表情は変わらない。「緊張とうれしさがあって、凄くうれしかったのに無表情になっちゃいました」。想像を超えた出来事を振り返ると、ようやく笑った。

 今夏は大学日本代表の主戦を任され、首都大学リーグでは巨人・菅野に並ぶ7完封をマークするなど、53回連続無失点を樹立し「ミスターゼロ」と呼ばれた。だが、野球エリートではない。都日野時代は甲子園とは無縁。都立高野球部出身者でドラフト1位で指名されたのは史上初の快挙だ。「これで都立でもプロ野球選手になれることを証明した」。桜美林大から支配下選手で指名されたのも初めてだ。

 田中、柳とともに「大学ビッグ3」と称されるが、同世代の日本ハム・大谷、阪神・藤浪らはすでにプロでも超一流だ。「大谷君は雲の上の存在」と現在の立ち位置を分析するが、「早く同じレベルで勝負できるようになりたい。もし、日の丸を背負えるならば一緒に戦ってみたい」と、4年後の東京五輪も夢見る。

 色紙には「新人王、優勝」と記した。「ロッテは投手陣がいい。子供の頃から好きだった涌井さんと同じ球団でプレーできる。いろんなことを吸収したい」と抱負を語り、対戦したい打者には日本ハム・中田の名前を挙げた。数々の歴史を塗り替えてきた「最強の外れ1位」が、新たなステージでも夢を実現していく。(横市 勇)

 ▽過去のドラフト外れ1位の最多重複指名 07年大・社ドラフトの篠田、同年服部、13年柿田の3球団で、5球団は佐々木千が初めて。なお、外れ1位が重複したのは17度目で、うちロッテが交渉権を得たのは95年沢井、前記服部、10年伊志嶺、12年松永、今回の佐々木千と5度目。12球団では巨人など4球団の2度を抑え、断然多い。

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2016年10月21日のニュース