栗山監督“人生最高”采配「監督をやっていてベストゲーム」

[ 2016年10月17日 05:38 ]

パ・リーグCSファイナルS第5戦 ( 2016年10月16日    札幌D )

<日・ソ>お立ち台でマスコットの“キス”の祝福にもん絶する栗山監督
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 重圧から解放された。首脳陣との握手には力が入った。「神采配」を連発し、難敵を撃破。試合後、開口一番に日本ハム・栗山監督はナインに感謝した。

 「強いホークス相手に1位で通過して勝たなければいけない状況はしんどく、苦しかった。選手に感謝、それだけです」

 日本シリーズ進出に王手をかけた前日の第4戦は完敗。負ければ逆王手の正念場で、采配がさえた。過去4試合14打席無安打の田中賢に代えて「2番・二塁」で杉谷を今シリーズ初めて先発起用すると、3回に2点差に迫る中前適時打。続く4回1死満塁では、早くも正捕手の大野に代打・岡を送った。これが的中し中越えの同点2点二塁打。直後に中島が決勝スクイズを決めた。4月23日の同戦(ヤフオクドーム)でも同じ森から延長10回に決勝スクイズを決めるなど今季チーム最多の4度の中島は「とにかく前に転がせば点が入ると思った」と胸を張った。

 継投も決まった。初回いきなり4失点のルーキー加藤に早々と見切りをつけ、2回からバースを投入。第3戦ではセーブも挙げた右腕は5回まで無失点に抑えた。谷元、宮西とつなぎ、最後は大谷。「監督をやっていてベストゲームかもしれない」。まるでドラマの「演出家」のように日曜デーゲームで詰めかけた4万人以上の観衆を酔わせた。

 リーグ王者として負けられない短期決戦。北海道栗山町の自宅でも眠れない日が続いたが、前夜に何げなくつけたテレビの歴史番組で前向きになれた。1860年代の明治維新で坂本龍馬らが活躍する100年以上も前に江戸幕府の老中として財政再建を狙いながら周囲の反発で失脚した田沼意次ら先見の明があった人物らが取り上げられていた。「よく歴史からヒントがもらえる。田沼意次も役に立った」と栗山監督。正解、不正解は分からないが、歴史の偉人と同様の信念で迷いなくタクトを振った。

 シーズンは11・5ゲーム差を逆転し、このCSでも4点差をはね返し、突破を決めた。次は06年以来10年ぶり日本一を狙う。札幌ドームのお立ち台。「今年の北海道は台風も含め苦しんでる人たちがいる。目いっぱいやります。勝ちます!」。栗山監督はファンに誓った。(山田 忠範)

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