筒香「打った瞬間」ほえた!決意のモヒカンでCS初陣初の逆転弾

[ 2016年10月9日 05:30 ]

セ・リーグCSファーストS第1戦 ( 2016年10月8日    東京D )

<巨・D>サイドを刈り上げたモヒカンヘアのDeNA・筒香
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 クライマックスシリーズ(CS)は8日、セ、パともにファーストステージ(3試合制)が開幕。セはレギュラーシーズン3位でCS初出場のDeNAが同2位の巨人に逆転勝ちした。本塁打と打点の2冠王に輝いた4番・筒香嘉智外野手(24)が1―2の6回に逆転2ラン。相手の内角攻めに苦しみながらも、一撃必殺の一振りで試合を決めた。9日の第2戦に勝てば、初のファイナルステージ進出が決まる。

 体が反応した。巨人バッテリーの短期決戦ならではの特別な攻めにも、筒香の心が揺れることはなかった。1点を追う6回2死一塁。カウント3ボール1ストライクからマイコラスが投じた外角低めに沈む135キロのチェンジアップを完璧に捉えた。背番号25は珍しく雄叫びを上げながら一塁へ走りだした。勝利に導く逆転2ランは、巨人ファンで埋まる右翼席に突き刺さった。

 「この球種を狙うということはない。若干(体が)泳がされましたけど、来た球に体が反応してくれた。打った瞬間に行ったかなと思いました」

 チェンジアップは3打席目、計12球目にして初めて投じられた球種。巨人バッテリーには前2打席で7球中6球で内角高めを攻められ、打ち取られていた。3回の第2打席では、唯一の緩い球となったカーブを空振り。だが、崩されている感覚はなかった。「マイコラスは良かったけど、徐々に見えてきた感覚もあった。厳しいところに来ることは分かっていたし、嫌がったら相手の思うツボ。嫌がらないようにした」。頭は冷静だった。

 巨人戦は9月23日に東京ドームで2発、翌24日には横浜スタジアムで1発を放っており、これでレギュラーシーズンから3試合連発となった。厳しいマークを受けながらも数少ない失投を確実に仕留める。ラミレス監督も「アンビリーバブル!日本の4番、ウチの4番として素晴らしい一本だ」と興奮気味に話した。

 44本塁打、110打点の2冠王の極意は「無意識の体の反応」にある。「投手の球に体がどう反応するかだけ」。そのための感覚を研ぎ澄ますトレーニングは繊細だ。ウエートトレーニングは10種類を優に超える。体幹、体の軸を意識し、決して筋量を増やすためだけではない。打席では体全体で「感覚」をつかむ。相手バッテリーが配球の妙で打ち取ることは難しい領域へと、筒香は足を踏み入れつつある。

 初のCSに決意のモヒカン姿で臨んだ。「2週間に1度カットしてるので、たまたま昨日(7日)がそうだっただけ」とかわしたが、ただ一人、東京ドーム付近のホテルに宿泊して体調を整えるなど、この試合にかけていた。試合前には「いつも通り、俺たちの野球をやっていきましょう」と鼓舞。主将の姿勢、プレーに、ナインも乗った。

 「(第1戦を)勝ったことは本当に大きい。(明日も)打ちます」。9回の第4打席はボール球を見極めて四球。どの打席でもブレることがないのが、筒香の凄みでもある。 (倉橋 憲史)

 ≪CS初陣で逆転弾は初≫筒香(D)が6回に決勝の逆転2ラン。04年以降のPOとCSで逆転本塁打は、昨年ファイナルSの坂本(巨)に次ぎ9人目で11本目だ。また、筒香はこの日がCS初出場。逆転本塁打を放った過去の選手を見ると、04年第1Sのカブレラ(西)と13年G・G・佐藤(ロ)の通算3試合目が最も早く、CS初陣でいきなりは筒香が初めてだ。なお、チームの日本シリーズでの殊勲本塁打を調べると、大洋時代の60年金光秀憲の先制弾、近藤昭仁の勝ち越し弾、横浜時代の98年鈴木尚典の同点弾があるだけ。ポストシーズンでは球団初の逆転本塁打になった。

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