【中畑清の視点】逆転弾で吠える筒香 かっこよかったなあ

[ 2016年10月9日 08:24 ]

セ・リーグCSファーストS第1戦 ( 2016年10月8日    東京D )

<巨・D>6回2死一塁、筒香は逆転2ランを放ち雄叫びを上げる
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 褒める言葉がもうなくなっちゃった。今年はずっと褒めてばかりだから。本塁打、打点の2冠を背負って臨んだ初めてのCS。最初の2打席は筒香も人の子だと思った。昔みたいにくそボールをブンブン振ってさ。第2打席なんて4球全てボール球。そのうち3球に手を出した結果、三邪飛に終わった。さすがに緊張していたんだろうね。今年初めてけなせるかなと思っていたら…。

 1点を追う5回、2死からロペスが左前打で出塁して迎えた第3打席。それまでの2打席はいずれも回の先頭打者で、巨人バッテリーの術中にはまっていたのに、4番の自覚なのかな。走者が出るときっちり微調整してくる。高めのつり球も内角に入ってくるスライダーもしっかり見逃し、3ボール1ストライクからの5球目。外角に甘く入ってきたチェンジアップを見事につかまえた。

 ロペスが出塁した時点でみんなイメージしてたと思う。ここで一発出れば…。一気にゲームをひっくり返す野球の醍醐味(だいごみ)。CSという注目度の高い短期決戦で、最高の形を実現する。神がかってるよ。先発の井納もよく投げたし、リリーフ陣もよくしのいだ。梶谷、ロペスにも一発が出た。チーム一丸。バランスのいいチーム状態を支えてるのが大黒柱、キャプテン筒香なのだ。

 かっこよかったなあ。逆転弾に向かって吠えてる雄姿。背中で仲間にパワーを送っているんだ。あの姿、あと何回か見たいな。その思いがかなったら「下克上」のストーリーが見えてくるかもしれない。(スポニチ本紙評論家)

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