【金本阪神超変革1年目5】最新情報共有した1、2軍首脳陣

[ 2016年10月7日 10:55 ]

4月27日の巨人戦、山田コーチのユニホームを借りてプロ初安打を放つ原口
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 戦力の底上げを期し、1、2軍の間では例年にない連携が見られた。2軍の陣頭に立ったのが阪神・掛布2軍監督だった。現役時代は“ミスター・タイガース”と称された生え抜きのOBが金本監督とタッグを組んで若手育成にあたった。

 「究極の目標は1軍が優勝で、ファームは最下位。2軍がギリギリになっても、1軍が勝てばそれで良い。ファームもチーム全体の戦力なのだから」

 27年ぶりの現場復帰が決まった昨秋に示した指針通りに動いた。3月15日のウエスタン・リーグ開幕直前には複数のスコアラーを呼び、1軍選手と同じ情報を2軍選手にも共有させた。13年秋から務めた育成&打撃コーディネーターとして主に2軍を見ていて必要性を感じたからだ。「若手が上がった時に試合前の時点で苦労することが多かったと聞いた。そういう面はなるべくファームで解消してあげて、スムーズに1軍になじんでいってほしかった」。この一例に限らず、すべての取り組みを1軍と関連づけた。

 特に1軍への報告は緻密に努めた。マネジャーを通じた連絡手段は同じでも内容は細かくなり、頻度も増加。たとえば、高卒1年目の望月は1イニングごとの結果と内容が伝えられ、金本監督の手元には常に更新された最新情報が届いた。1、2軍がナイターの場合でも常に1イニングごとの情報が送られた。その積み重ねが1日の巨人との今季最終戦での1軍デビューにつながった。

 1、2軍の首脳陣が最新の情報を共有したことで常に旬な状態で選手は昇格できた。最たる例が4月下旬に育成から支配下に復帰して正捕手争いに加わるまでになった原口だ。掛布2軍監督は感慨深く振り返った。

 「金本監督が常に上への扉を開いてくれていた。原口の場合は4月中旬に『状態が良いですよ』と伝えると、二つ返事『じゃあ、昇格させます』ということだった。去年までだったら、彼もどうなっていたか分からない。1、2軍の連携で生まれた選手だよね」

 今季の広島は自前で育てた選手が主力となり、25年ぶりのリーグ優勝という形で花開いた。5日のシーズン終了報告では金本監督と坂井オーナーの間でも話題に上り、「育てながら勝つ」という基本方針を再確認した。育成を進める上で来季も1、2軍の連動が根幹となる。    (久林 幸平)

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