大谷 初涌井撃ち!4年ぶり白星 パ制圧全球団勝ち越し決めた

[ 2016年9月19日 05:30 ]

<日・ロ>3回1死一、二塁、涌井から適時打を放ち、ガッツポーズを見せる大谷

パ・リーグ 日本ハム4―2ロッテ

(9月18日 札幌D)
 「パ制圧打」だ。日本ハムの大谷翔平投手(22)が18日、ロッテ戦で決勝打を放った。3回、相手エースの涌井秀章投手(30)から自身初安打となる勝ち越しの右前適時打。首位・ソフトバンクの優勝マジック点灯を阻止し、0・5ゲーム差を維持した。チームは今季のレギュラーシーズンでパ全5球団からの勝ち越しも決めた。二刀流エースは自らの決勝打で弾みをつけ、先発する21日のソフトバンクとの最後の直接対決に向かう。

 二刀流はよく分かっている。エースの失投はめったにない。その1球を逃さず、仕留められるか。同点の3回1死一、二塁。大谷は涌井が外角に投じた1ボールからの2球目、140キロのスプリットを捉えた。低めでもストライクゾーン。両手を伸ばし、ヘッドを走らせた。右前にはじき返し、勝ち越し打となった。

 「(涌井は)いい投手。制球がいい。チャンスはあまりないと思っていた。(点を)取るところで取れてよかった」

 涌井から通算8打席目で放った初安打。さらに圧巻は続いた。中田の三ゴロで、三塁手・細谷が二塁封殺を狙った。ところが、一塁走者の大谷が猛烈な勢いで二塁へスライディングし、セーフにした。細谷は無駄のない動きだったが、常に先の塁を狙う大谷の貪欲な姿勢が上回った。得点にこそつながらなかったが、「ある程度、高いバウンドだったので、(二塁に)行けてよかった」と衝撃の好走塁だった。

 ワンプレーにひたむきな大谷の原点はどこか。栗山監督には忘れられないシーンがある。スポーツキャスター時代に取材した09年夏の甲子園。花巻東・菊池(現西武)が準決勝で敗れた後、全体ミーティングで宣言した。「プロに入っても一塁まで全力疾走します」。菊池と入れ替わりで入学した大谷も走塁練習を毎日行い「外野フライは二塁まで全力疾走」などの同校の決まり事を学んだ。「それを習慣付けてくれた佐々木(洋)監督に感謝している」と指揮官。全力疾走を怠らないから、高い集中力を保てている。だから、打席でも投手の失投を逃さない。

 1点を追う初回無死一、三塁でも涌井のグラブをはじく痛烈な打球を放った。遊撃に転がり、併殺打となったが、同点とした。栗山監督は「普通だったら安打。ああいうところできっちりやるのが(投打)2つやらせている信頼度」とうなずく。この2打席で白星をたぐり寄せ、涌井に西武時代の12年以来となる日本ハム戦での黒星をつけた。そして、パ全5球団からの勝ち越しを決めた。

 首位・ソフトバンクもオリックスに勝ち、0・5ゲーム差のまま。し烈な優勝争いは最後までもつれるだろう。大谷は19日もDHでの出場が濃厚で、21日のソフトバンクとの初戦に先発する。「結局、僕らは勝つしかない。一戦一戦、頑張って勝ちきれるようにしたい」。残り10試合。プロ4年目で初の栄冠を必ずつかみ取る。 (柳原 直之)

 ≪10勝&100安打なら67年ぶり≫大谷(日)が3回勝ち越しの右安打。今季のV打は9度目で中田17度、レアード12度、陽岱鋼10度に次ぎチーム4番目だ。これで打点は64。パで規定打席不足の最多打点は89年デストラーデ(西)の81打点で、チームでは99年オバンドーの62打点を既に上回り最も多い。また、安打は96本。大谷は今季8勝を挙げているが「10勝&100安打」は49年野口二郎(阪急)が10勝、109安打でマークしたのが最後。大谷が達成すれば67年ぶり、2リーグ制後では初めてになるがどうか。

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