誠也伝説になれ!前田に並ぶ27号 3割30本100打点行ける

[ 2016年9月17日 07:20 ]

<広・中>3回2死一塁、鈴木が左越えに27号本塁打を放ち、菊池(左)野村(右)らナインと笑顔でタッチ

セ・リーグ 広島8-0中日

(9月16日 マツダ)
 広島・鈴木誠也外野手(22)が孤高の天才打者と肩を並べた。16日の中日戦(マツダ)で、4点を先取した3回に追撃の27号左越え2ラン。あの前田智徳(野球解説者)が高卒4年目に放った本塁打数に並んだ。投げては野村祐輔投手(27)が7回を散発4安打零封しリーグトップタイの15勝目。V歓喜に沸く赤ヘルは、主催試合の入場者数が2年連続200万人を突破した。

 鮮やかな一撃が、Vの歓喜に沸く本拠地の大観衆をまた熱狂させた。敵失に乗じて先制し、丸の2点右前打、ルナの左犠飛で4点を奪った序盤3回。なおも2死一塁で、集中力を研ぎ澄ませられるのが22歳の才能だ。一挙6点の猛攻。完結させたのは鈴木だった。

 「積極的にいけた。自分のスイングで捉えることができました。ボクは1打席たりとも無駄にできない。集中して入れたのでよかったです」

 カウント2―1から、バルデスの内角直球をジャストミート。放物線を描いた打球は左翼席前面の広告看板を直撃した。自力でリーグ優勝を決めた10日、巨人戦(東京ドーム)で2発を放って以来の27号2ラン。OBの前田智徳が高卒4年目に放った本塁打数と並んだ。

 「うれしいです」

 片や現役最終年、片やルーキーだった13年、背番号「51」の先輩後輩は1年だけ交わっている。常に同じ角度で出るバット。軽く振ってもスタンドに入る打球。厳しい球をヒットゾーンに運ぶ技術―。鈴木の胸中には強烈な印象が刻み込まれている。「レベルが違いすぎる」は本音だった。

 それがどうだ。4年目の今季は16日現在、リーグ2位の打率・340、同5位の93打点と大ブレーク。27本塁打も4位タイにつけ、強打者の証しといえる3割、30本、100打点を視界に捉える。残り7試合。その潜在能力を持ってすれば不可能ではないが、当の本人は意外なほど、こだわりがない。

 「成績が出ているのはうれしいけど、数字はどうでもいいです。それよりも、自分にとっていいものを見つけられたら」

 本拠地での連勝を12に伸ばした中日戦後のベンチ裏。いつものように鈴木はスイング練習に汗を流した。東出打撃コーチが「もう上がろうや」と声を掛けたが、「いや、感触がいいので」と振り込みを続けた。このどん欲さ、この姿勢。“10割を打ちたいか?”の問いには、真面目な顔で「ハイ」と答えた。末恐ろしい22歳だ。(江尾 卓也)

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2016年9月17日のニュース