ダルのスピン 浮き上がる直球は回転数世界最高レベル 投手コーチ絶賛

[ 2016年8月31日 05:30 ]

<レンジャーズ・マリナーズ>岩隈との日本人対決を制し、今季5勝目を挙げたダルビッシュ(AP)

ア・リーグ レンジャーズ6―3マリナーズ

(8月29日 アーリントン)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)が29日(日本時間30日)、マリナーズ戦で右肘手術後最多となる110球の熱投で6回2/3を3失点に抑え、岩隈久志投手(35)との投げ合いを制して今季5勝目(3敗)を挙げた。リハビリ期間に行った肉体改造の成果で直球の質が向上し、ボールの回転数は先発投手のトップクラスを誇る。進化を続ける右腕の好投でチームは3連勝を飾り、地区優勝へのマジックを23に減らした。

 狙いはストライクゾーンのみ。手術痕の残る右腕を振り抜き、直球で押し込んだ。「(手術後)変わるだろうと信じてはいましたが、正直ここまで急激に変わるとは思っていなかった。そこに関しては凄くびっくりしています」。本人も驚く本格派右腕へのモデルチェンジ。それを示したのが4回だった。

 1死から14年本塁打王の4番クルーズを迎えた。カーブ、直球とあっさり2球で追い込んだが、遊び球の選択肢はなかった。スピンの利いた95マイル(約153キロ)直球をど真ん中に投げ込んだ。浮き上がるボールにバットはかすりもせず、空振り三振。完全に振り遅れだった。最速は97マイル(約156キロ)で、この日効果的に使ったカーブとの球速差は約40キロ。「直球の制球が不安定だった」と振り返ったが、緩急で直球を生かした。

 ダグ・ブロケール投手コーチは「ユウほど回転のいい直球を投げられる先発投手はメジャー全体でも少ない。ここぞという時に投げる球は2700回転を超える。このレベルは5、6人いるかどうか。このボールを見せておけば彼の得意なスライダーや変化球がさらに有効になる」と絶賛する。復帰初年度ながら直球の平均回転数(1分間換算)は先発投手で4位の2497回転。最高回転数ではシャーザー(ナショナルズ)の2872回転、バーランダー(タイガース)の2799回転に次ぐ2759回転とメジャートップクラスだ。

 この日の110球中、ツーシームを含む速球系は77球で実に70%。「最近の内容だと直球とツーシームがかなり多い。(捕手の)ルクロイも僕もそういう感じ」と速球系の割合を増やしていると明言した。奪三振王を獲得した13年のウイニングショットはスライダーだったが、今季は直球の空振り率が増加。過去3年は直球の空振り率が2桁未満だったが、今季は14・7%とリハビリ期間に行った肉体改造の成果は数字にも表れている。

 同一シーズンでは自身最長となる8試合連続クオリティースタート(6回以上、自責点3以下)も果たした。地区優勝へのマジックは23。さらに進化した姿でカムバックした右腕が、球団史上初のワールドシリーズ制覇を目指すチームの命運を握っている。(アーリントン・奥田 秀樹通信員)

 ≪手術前と比べ直球空振り率は2倍以上に≫米データサイト「ブルックス・ベースボール」によると、今季の全投球に占める直球の割合は39・3%。手術前の14年(40・3%)と大差はないが、直球での空振り率は6・3%から14・7%と2倍以上に増えている。また、直球の平均球速も手術前は93マイル(約150キロ)台だったが、今季は94・7マイル(約152キロ)とアップしている。

 ≪日常生活の主な高速回転(1分間あたり)≫

 ☆PCファン(CPU冷却装置)=2500~5000回転(外気温、湿度で変動)

 ☆換気扇=1500回転(50ヘルツ)、1800回転(60ヘルツ)

 ☆扇風機=500~600回転(弱)、850~900回転(中)、1200~1250回転(強)

 ☆CDの再生=200~500回転

 ☆ハムスターの回し車=185回転(輪の直径11.5センチ)

 ☆自転車=40回転(ゆっくりめ)、100回転(高速)、140回転(競輪選手)

 ☆パチスロ=76.9回転

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