ヤクルト山中 必由館後輩・岩貞に投げ勝ち「熊本が盛り上がれば」

[ 2016年8月29日 05:30 ]

<神・ヤ>今季6勝目のヤクルト先発・山中

セ・リーグ ヤクルト3―1阪神

(8月28日 甲子園)
 バスの前で取材に応じたヤクルト・山中の言葉は郷土の熊本愛に満ちていた。阪神打線を初回の1失点のみに抑え、今季3度目の完投勝利で6勝目。必由館の後輩・岩貞との投げ合いを制し、「岩貞も必死に頑張っていたので負けないように。必由館同士の投げ合いで熊本が盛り上がってくれれば」と語った。

 必由館の恩師・西田尚巳監督がスタンドで観戦。サイドスローだった山中が「遊びで投げていたら、下から投げた方が力が球に伝わった」とアンダースローに転向したのは高2の5月だった。あれから14年。今年4月には故郷が地震で被害を受けた。「監督が見ていたのでいい投球を見せられたと思う」と恩返しの投球に納得の表情だった。

 125キロに満たない直球と100キロ台のカーブで27個のアウト中18個がフライアウト。昨オフに熊本で行った競輪トレーニングで下半身をいじめ抜いた効果は如実に出ている。終盤も球の切れは衰えず、打者は球速以上に感じる直球に差し込まれ、緩いカーブには泳いだ。2点リードの9回2死二塁。一発が出れば同点の場面では代打・原口をカーブで中飛に仕留めた。

 阪神戦は今季3勝0敗とキラーぶりを発揮。「よく分からない。たまたまです」と謙虚に振り返ったが、首脳陣の評価は高い。真中監督は「最後までよく投げてくれた。秋吉も3連投だったし助かる」と絶賛。高津投手コーチも「奥行きを使った投球ができるようになった。(9月は)大事な試合を任せる可能性は十分ある」と評価した。

 チームは今季最多タイの5連勝で3位・DeNAと2・5ゲーム差。石川、小川の左右の両エースだけではない。安定感抜群の山中が逆転CS進出のキーマンになる。(平尾 類)

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