広島 M20!8・24点灯は連覇80年に並ぶ球団最速タイ

[ 2016年8月25日 05:30 ]

<巨・広>6回無死、二塁打を放ち激走する広島・福井

セ・リーグ 広島7―3巨人

(8月24日 東京D)
 首位の広島は24日、2位・巨人を相手にリーグ一番乗りの70勝目を挙げ、優勝へのマジックナンバー「20」を初点灯させた。福井優也投手(28)が5回、打球を右膝に当てても続投。直後の1点を追う6回に先頭で右中間二塁打を放ち、一挙4得点の口火を切った。相手エースの菅野を攻略し、両リーグ最多37度目の逆転勝ち。福井は6回2失点で4勝目を挙げた。マジック点灯は前回優勝した91年以来で点灯日は日本一連覇した80年に並ぶ最速。25年ぶりの優勝が近づいてきた。

 やられたら、やり返す。打席の福井は、気迫とともに外角球にバットを出した。1点を追う6回。先頭打者で菅野の148キロ直球を叩いた。右中間を抜ける二塁打。痛快な逆転劇の扉を、自らの手でこじ開けた。

 「菅野君に(打球を)当てられたので。どうにか打ってやろうと必死に食らいついた」。直前の5回2死。菅野の打球が自身の右膝を直撃。立ち上がれない。コーチらの肩を借りてベンチに戻った。駄目か…。しかし、福井はわずかな時間の治療で再び姿を現した。

 「当たった瞬間は投げられないと思った。でも、ベンチに下がったら大丈夫だった」。マウンドは絶対に誰にも譲らない。意地。それはバットにも乗り移った。

 その心意気に打線が応える。続く田中が右中間二塁打。福井は足の痛みもお構いなしの激走で同点のホームを踏んだ。さらに丸の勝ち越し右翼線二塁打、鈴木も左翼線二塁打と1イニング4二塁打。一気の4点奪取で菅野を攻略した。投げては6回5安打2失点。菅野との投げ合いは今季2戦2勝となり、福井は「(今日の勝利は)3勝分の価値があるんじゃない?」と笑顔でおどけた。

 「巨人」。この2文字に2人は不思議な巡り合わせがある。福井は05年高校生ドラフト4巡目で巨人に指名された。しかし、評価が低いなどの理由で辞退。巨人が入団を拒否されたのは25年ぶりで、右腕は1浪の末に早大へ進学した。菅野は11年ドラフト1位で日本ハムに指名されたが、巨人に入りたい一心で拒否。こちらも1浪して入団した。巨人を巡って、回り道してのプロ入り。そんな運命が交錯し、軍配は福井に上がった。

 25年ぶりVへ、ついにマジック20が点灯。8月24日の点灯は80年に並ぶ球団最速だ。12球団で最も長く優勝から遠ざかっている広島は今、旬を迎えようとしている。先発陣は精神的支柱の黒田を軸に野村、ジョンソン、福井ら駒がそろう。打線も若手の鈴木、中堅の菊池、丸、そしてベテランの新井らが融合。チーム打率・272は両リーグトップを誇る。8回には菊池、丸の初の連続アーチでダメ押し。まさに勢いは我にあり、だ。

 歓喜の瞬間へのカウントダウン。それでも緒方監督は「(マジックは)はっきり言って邪魔な情報。143試合目まで戦い抜く。自分たちの野球をやる。それは変わらない」と不動の姿勢を崩さない。残るは26試合。最後の直線を、真っすぐ前だけを見て突き進む。

 ≪最短胴上げは9月6日≫広島に優勝へのマジックナンバー20が点灯した。マジック対象の巨人が残り29試合を全勝しても89勝51敗3分けの勝率・636。これに対し広島が巨人との5試合を除いた残り21試合のうち20勝を挙げれば90勝51敗2分けの勝率・638と巨人を上回るため。なお、現日程での最短胴上げは9月6日。

 ≪最短点灯並んだ≫広島の最速マジック点灯は80年の8月24日(M35)で今回はこれに並んだ。70勝到達は2年ぶり10度目でこちらは80年の119試合目を2試合上回り球団最速となった。

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